令和の日本列島改造論 その2

                                               令和の日本列島改造論 その2

シリーズ冒頭「その1」では交通インフラの整備による日本列島改造を提案いたしました。 今回は新しい農林業用機械・災害対策用機械の開発と利用による日本列島改造を提案したいと思う。 

林業用建機を開発・災害対策機械と兼用

 日本の山間地には杉を中心とした膨大な量の木材が育っている。 しかし、山間地の木材搬出には多大なコストがかかる場合が多く、利用できる量は限られている。 

 戦後、荒廃した日本の、住宅を中心とした再建に多くの木材が必要とされ、全国で植林が進んだ。 その後海外産木材が低コストで輸入されるようになったため国産材価格は暴落し、搬出や管理にコストのかかる場所の林は利用されずに放置されている。 国主導で林道整備がなされ、都道府県の外郭団体で作業道がつくられたところは搬出が容易になったがほんの一部の地域に限られ、しかも道路をつくって搬出するのでは、とてもコストを回収できそうもない。 

 そこで私が提案するのは、6本脚の林業用建機である。 現在の建設機械は走行装置がほとんどクローラーキャタピラー)であるため一定傾斜以上では使い物にならず、僅か1m程度の凹凸さえも超えることができない。 日本の山間地では使える場所は限られる。 これに対し、動物のように脚で歩く機械を作れば、人間が行けるところは殆ど行けるようになる。 森林に住む動物は皆4本脚である。 4本脚でもあらゆる不整地に対応しているが、作業用建機となれば、より安定した6本脚を提案する。6本脚であれば傾斜地走行時でも常に安定した4脚接地が可能となり、転倒のリスクが格段に小さくなる。 この建機を用いて、作業道を作らずに木材を伐採・搬出を行うのす。 作業道等の道路はつくれば管理コストが将来ともかかり続けるが、道路を作らない搬出方法であれば、無駄な管理コストも必要がない。 

 ただ、この建機は生産量が少ないため、クローラー式よりも相当に高額となるであろう。 そこで、この建機を大規模災害時の災害復旧用に転用可能とするのです。 全国の森林組合や大規模造林企業に販売する際、クローラー式との差額を国の国土強靭化計画予算等から補助金として給付し、いざ災害救助という際はオペレーター付きで派遣してもらうことを補助条件とするのです。 

 例えば全国で1000台の機械を稼働させていれば、災害時に100台や200台はたちどころに集めることができるでしょう。 しかも、オペレーターもついています。道路脇の林地もどんどん歩けるわけですから、このような機械であれば、以前に山梨であった想定外の積雪での車両救出も可能ですし、東日本大震災時にこのような建機を例えば500台派遣できたとしたら、災害復旧スピードは大きく変わっていたでしょう。

 災害対策用機械は、災害対策用専用とすると使うべき災害が発生しなくても保管費用やメンテナンスコストは常時発生する。 また、オペレーターの訓練や新規採用等、確保にもコストが必要である。 林業機械として常時稼働中であれば、これらのコストはすべて林業収益で賄うことができることになる。 

 災害対策も、発想を変えれば国土強靭化と日本の産業振興・雇用増加を同時に達成することが可能となります。 行政は縦割りの担当領域にこだわることなく、日本をどのように変えれば最も多くの幸福を国民に届けられるのかを考えて企画していただきたいと思う。