地球環境の提案(その3)

 今回の記事も、十数年前に書いたものです。 私は、中国が完璧に発展途上国であった改革開放以前から、何度も中国内陸部 の植林ボランティアに参加していました。 その後、経済的に発展すると 中国政府は対外的に横柄になり、日本とも尖閣諸島問題が起きるなど強気の政策をとるようになったことと、日本で東日本大震災が発生するなど 日本が中国を援助している場合ではなくなったこと から、中国でのボランティアはやめ東北のボランティアに変更して活動したので、中国へは行かなくなってしまいました。

 その後、中国は日本を追い越し世界第二の経済大国になり、日本は経済的にも失速して、技術力さえ一部で追い越されたものも出てきています。 日本はもっと国内体制も整備して、国力を高める努力が必須であろうと思います。 その端緒となるのが、環境技術で世界をリードすることであろうと考え、今回の提案を公開いたします。

 今からの世界は、環境を無視して経済のみを発展させようという考えは破綻します。イケアのように、自らCO2削減のために大規模植林に乗り出す企業も現れてきました。日本は技術力で世界の環境先進国のトップランナーになってほしいと思います。

 

                                                地球環境の提案(その3)

 私はほぼ毎年、ここ十数年中国の砂漠地帯や黄土高原の緑化ボランティアに参加しています。
 中国政府も日本人等のこのような緑化活動に触発され、近年非常に緑化に力を入れており、ハゲ山にものすごい勢いで植林が進んでいます。政府の力の入れように比して、人民の自覚は今一つという感がありますが、生活力向上に従い、自覚も高りつつあるようです。

 このような活動を続けていったなら、中国の黄土高原は1000年後には昔のような大森林に戻り、元のように雨も降るようになるかも知れません。しかしながら、森が完成したならば、大気中のCО2が毎年減少しつづける訳ではありません。
 森林は、自らの体に固定している炭素(C)の分のみは大気中からCО2を吸収した結果ですが、森が完成してしまうと、それ以上に大巾なCО2の吸収は行なえなくなります。木の葉や枝が落ちると、地表でそれは巧ちていき、バクテリア等により分解され再びCО2とH2Оに分解されていきます。完成された森には、大気中のCО2を削減してくれる効果を過度に期待する訳には参りません。森林活動を確実にCО2削減に結びつけるには木や枝を伐採採収し、それを燃料にしたり、腐敗させることなく利用し、再び森林として再生させつづけることにより石油や石炭の使用を削減し、過去に固定されたCをCО2に戻さないようにする必要があります。

 森林が固定したCをCО2に戻さない方法の1つに炭化があります。炭にすると、地表にあってもバクテリアは容易には分解出来ず、数千年程度はCを固定しています。炭作りは、自らの着火によるエネルギーで出来る為、切ったり運んだりするわずかのエネルギーを除いて、他方からのエネルギー供給が小さくて、大きなCО2固定効果があります。炭にしたまま、土壌改良材や調湿炭として使用している分は、正にCО2を大気から減らしたと言えるでしょう。

 現在太陽電池による発電や植物由来の燃料油から、ガソリンをつくったりして、CО2削減の努力がされていますが、これらの生産や供給過程で使用される石油エネルギーを考えると、果たしてどの程度CО2削減に寄与しているのか疑問も生れます。ソーラー発電所を作ったら、50年以上発電を続ければ、新設時に放出したCО2はあまり問題にならないかもしれませんが、数年で撤去、廃棄となればCО2削減にならないと思われます。

 私が子供の頃は、村の大人の副業として炭焼きがよく行なわれていました。一定面積の山の木だけを地主から買い、その場所に土で炭窯をつくり、ノコギリで森を切り、炭をつくり車の来る道まで担いで人力で運びだしたものです。
 この工程の中には殆ど石油エネルギーを必要とするものがありません。炭焼きに適した山は広葉樹のナラやクヌギ、クリの木で、皆伐しても、その根から次の年にひこばえが芽吹き十数年で元通りの森になります。

 熱帯雨林の減少が問題となっていますが計画的な再生が出来る伐採を目指し、ODA等はこのようなところにこそ金を使うべきでしょう。これからのODAは地球環境を無視したものには1円も金を使うべきではありません。

 途上国の大きな問題は、貧困であり、現金収入のある働き場所のないことですから、熱帯雨林を焼き払って商業生産用農産物をつくるよりも、計画伐採と再生計画、炭化計画等の燃料化計画を組み合わせて、CО2を削減しながら現金収入のある道をつくっていかねばなりません。世界中で炭が大量に生産されるようになれば、炭で走る車が出来るかも知れません。炭で発電する発電所が出来るかも知れません。炭を原料としたコークスが出来るかも知れません。植物を発酵させて作るアルコールと混ぜることにより、全く新しい燃料を作り出せるかも知れません。

 その時私達は、コストは高くても環境税を払うつもりで途上国で生産された、森林を破壊しない炭を使うようにしていく必要があるでしょう。