令和の日本列島改造論 その7

 

                                次のパンデミックに日本国としてそなえよ!
        (②次回パンデミックまでに準備すべきこと
 
 前回「令和の日本列島改造論 その6」では、厚労省の改革点を公開しましたが、現在の厚労省の指示を出す立場のトップでは多分実行不可能で、橋本徹大阪府知事吉村洋文大阪府知事のごとく合理的思考力と実行力があり、自分で責任を取る覚悟のある人物をトップに据えることが必須であるように感じられる。 

 前回記述したように厚労省には「パンデミック対処の基本」を再教育する必要がありますが、その基本とは「ウイルスの絶滅」が目的であることを全員が確認することが始まりとなります。 一旦ウイルスが国内に入ったら、保菌の可能性がある人はすべて隔離と検査をしなければなりませんが、この体制作りについて下記の如き事項についての専門知識を持つ人にレクチャーを仰ぐ必要があります。

 「ウイルスの絶滅」のためには保菌の可能性がある人(接触状況や症状)の基準を定めて、できるだけ多くの人の検査をさせる広報活動をせねばなりませんが、広報活動をするとまず、相当の数の電話やメールが入ってきます。 

 本来、所定様式NET受付が理想ですからこれを主としても、高齢者にはそれは望めません。 厚労省職員に電話応対させれば、それだけで相当数の職員が拘束される上、電話もつながりにくくなります。 厚労省職員は濃厚接触者探しや検査外注探しなどをしなければなりませんが、電話応対だけで時間を食われ、職員が本来すべき仕事に支障が出てしまいます。 

 これを防ぐため、専用コールセンターを設けそこで受付を行うのです。 コールセンターを開設できる業者は日本に沢山ありますから、外注するのです。 コールセンターでは、いたずらや間違い、無関係案件や単なる愚痴等を排除し、本件で処理すべきもののみ一定基準の受付用紙に記載して厚労省担当職員に渡すように、受付用紙を作成し、オペレーターに対し受付教育を行わねばなりません。 このような教育の専門家も日本にはいるのです。 ここで受付されたものを順次厚労省職員が電話やメール等で検査日程等の案内を行うのです。 

 また、検査は身内の国立感染症研究所に限定せずに、民間検査機関の協力を要請すればすぐに多くの検査が可能になります。 民間検査機関以外にも、大病院では機器技師もいる場合もあります。 どこが何台機器を持っているかは、機器メーカーに問い合わせればすぐにわかります。 機器はあるが技師がいない場合は、メーカーや習熟技師を講師として看護師や若手医師、医学生看護学生等に研修を施し、技師を増やすのです。 

 このように、今回のコロナパンデミックではまともな対策を打てなかった厚労省は、反省して次回は素早く対策が出来るように準備しておかねばなりませんが、そもそも日本政府として非常時法制非常時予算確保の税制などを準備し、パンデミック対処を素早く出来るようにしておく必要があります。

 今回の各業者に対する休業要請にしても、自治体では協力金支給を行うところがあるものの、いまだに政府として出すのか出さないのかわかりません。 これで、次のパンデミック時に休業要請して事業者が皆、従ってくれるでしょうか。 業種、規模、立地等により標準補填日額を定め、休業した企業が雇用を維持していても倒産しない程度の補填を行わなければなりません。 そしてその予算措置は、限度額を定めないのです。

 「令和の日本列島改造論 その5」で提案した積立金制度が確立していれば事業者にはまずそれで資金繰りをお願いし、それ以上に長引く場合は雇用を維持することを条件に、休業日に応じ無制限に協力金支給を行うのです。 戦時と同じ非常時なのです。 予算をケチって戦争は出来ません。 国が出来る最大限まで資金供給可能とし、パンデミック収束後に使った資金を特別税として消費税や事業税、所得税等に上乗せする仕組みをつくっておき、パンデミック期間に応じて税の加算期間10年20年30年と変えることとするのです。 大きな金は、一時に用意しようとすると大変ですが、広く長期に税方式で回収すれば大きな負担感なく回収できます。 現在電気料金に上乗せされている再生エネ賦課金は電気を使っている人すべてが少しずつ負担していて、払っていることすら気づいていない人が大半ですが、実は年間3兆円近く払っているのです。

 このほかにも、対策すべきことは沢山あります。 それらを下記に列挙すれば、

感染症安保法の制定-------感染症対策装備品等の国産化比率向上
 マスク、フェースシールド、除菌剤等の一般消費者向け消耗品をはじめ、医療機関 向けマスク、防護服、手袋等の消耗品、酸素吸入設備人工呼吸器感染検査機器等の設備はいざというときに自前調達できるよう、原材料を含め30%程度以上は国産とするように、設備設置補助を行うための法整備を行う。

仮設ハウス製造・レンタル会社の能力登録制導入。 
 隔離場所や検査場所の確保は仮設ハウスが最も迅速融通性が高い。 業者の施工可能地域や最大供給能力等を登録により把握し、補助により隔離施設用病院病室用等、用途別設計を完了してもらっておいて、工期等を把握しておけば迅速対応が可能となる。

ホテル事業者との連携--------新築・増改築時の隔離対応改造に補助金支給
 都市部ではホテルが最も迅速に隔離施設病室として使用できる。 ホテルをいざという場合に使えるように、あらかじめ事業者と緊急時の借上げ契約を結び、導線分離用エレベーター出入口の増設ロビーの間仕切り容易化などに補助金を出し協定しておく。

バス・タクシー事業者との連携--------感染者輸送用改造車保有義務付け
 旅客輸送事業者には、改造費用を補助することにより一定比率の感染者輸送用改造車の保有を義務付ける。 コロナ以外の感染症も考慮し、前後仕切りだけでなく後部が陰圧となるようにフィルター付きファンも取り付ける。

感染疑い者検査所設置の常時準備
 新型感染症が流行し出したら、これを病院内に持ち込ませないように仮設の院外検査所設置基準を作成しておく。 ここで、感染疑いがないと判断された人のみ病院受付が出来るシステムを素早く導入できるようにしておく。 

ペット制限法整備
 現在、人が飼うペットは動物愛護法鳥獣保護法などで飼ってはいけないものが定められているが、まことにわかりにくいし機能しているとも言い難い。 ペットから感染症が広がることもままあり、また、飽きた飼い主が放置したことにより外来生物として環境破壊となる場合も多く、今までとは逆にペットとして飼えるものを規定して、それ以外は研究用・展示用・保護治療用などに限定し、飼育環境の整備条件を付した許可制とすべきであると考える。 具体的にペットとできるのは哺乳類の犬・猫、うさぎ、鳥類のオウムやインコ程度で充分である。 稀に、へび、カエル、亀などを飼っている人がいるが、これらからのウイルスが新型感染症の原因となる可能性もあり、逃げ出して迷惑をかける場合も多い。 次回のパンデミック日本発とならないようにしなければならない。

IT技術による感染拡大抑止社会をつくる
 日本は、NET利用による感染者の移動把握公的申請等の利用技術で世界からの遅れが顕著であることがコロナ騒動で明らかとなった。 官僚組織防衛優先・既得権益死守の姿勢で改革が遅れ、デジタル後進国に成り下がっている現状を政治が変えなければ、次回のパンデミックは日本崩壊を招くことだろう。 

私がざっと考えても、この程度のことが考えられる。 直接苦労された業者や担当された部署の人はもっともっといろいろあろうかとは考えるが、これらのことを速やかに実施していかないと、定期的に起こるパンデミックに対し、毎回同じことの繰り返しになることは明らかである。 また、「令和の日本列島改造論 その5」で述べたようにパンデミック以外でも、東南海地震富士山噴火等将来予測されている大災害、鳥インフルエンザコレラ等の家畜感染症蔓延など、国民生活に多大な負担を与える事象はいくつか考えられるが、これらの対策を明確にし、準備しておくことが日本国の強靭化に必須のことであろう。 予測されていながら何も対応できていなかった東日本大震災による原発事故」は未だに大きな問題を抱えたまま元の状況に戻る見通しもつかない状況となっている。 政治は未来を素晴らしくするために、変化に抵抗する老害を排除し官僚の劣化を改革していって欲しいと考える。