令和の日本列島改造論 その9  

 

                                                          日本の農林業を変える

 

 明治以降の日本は、欧米各国との多大な国力差に気付かされたため、これを克服するべく国をあげて取り組んだ結果、先進諸国に追いつきその仲間入りを果たした。 この際に官の果たした役割は大きく、日本の官僚制度有効に機能し、諸外国からも優秀な官僚の多さをうらやむ声さえ聞こえたものである。 ところが、今や日本の産業分野で世界を牽引しているものは殆ど見られなくなり、国自体の先進技術開発・採用の遅れは目を覆うばかりである。

 この原因は、まさしく官僚の劣化である。 日本の国民性にも若干起因していることが有るかもしれないが、「変える」ということが嫌いないわゆる「ベテラン官僚」が跋扈していることが、諸悪の根源であろう。 明治期から欧米に追い付くまでは「手本」があるのであるから、官僚は手本に倣って「変える」計画を策定すればよかったわけである。 追いついてしまうと手本が無くなるので、途端に「変えない」と変わってしまった。 変えない方が自身への責任追及もなく、既得権も守られるので自身は「安住の地」に住めるのである。 官僚が良く言う「前例がない」はまさに劣化した官僚が使う言葉なのです。 

 手本が無くなったあとの成長は失敗を恐れず現在の社会システムを「変える」、いわゆるイノベーション」を起こすことを積極的に支援する施策が必要なのですが、劣化した日本の官僚制度は先に言った「前例がない」ことを嫌い、イノベーションを起こさせない行動をとっているのです。 このことは日本の産業全般に影響しているのですが、特に日本国民の「」に影響し、また国土保全・利用に大きな関係がある「農業」政策についてどのように変えていくべきであるか、私見を述べてみたいと思う。

 

土地政策の大幅変更 ――――― 管理できる者だけが土地所有を可とする

 当ブログ内の「令和の日本列島改造論 その3」でも触れてあるが、日本の農業を本気で変えようとすれば、土地政策の変更が必須となる。 日本中に広がりつつある耕作放棄所有者不明土地山林の境界不明問題等を解決しなければ、日本全体で効率の良い低コスト農林業を確立することは望めない。 これを解決する道は、政治決断のみである。 法律で、耕作放棄地や所有者不明土地、固定資産税の長期未払い土地は国が接収し、それらを国の機関が管理し、有効利用できる者に売却または賃貸する、いわば所有と管理の一体化を推進するのです。 

 

林業の大規模化を推進

 国が接収した土地を管理する機関は、その土地の隣接者等と協議し、土地面積を大規模化して農林業の低コスト化を推進し、林業「儲かる」産業に変えていくのです。 儲からない産業持続性が無いので、いずれ破綻します。 今までの農業や林業はまさに破綻産業です。 今までのような個人の零細農家頼みの農林業ではなく、規模を100倍以上にした儲かる産業に育てなければなりません。

 

林業の機械化を推進 ―――――― ロボットに投資を!

  これから激減していく日本の人口、その中にあって3Kの代表格である農林業の従事者が激増する訳がありません。 しかし、儲かる産業として他産業に匹敵する報酬を出し、3K部分ロボットが担うこととなれば、ある程度の従事者数は確保できます。 

 幸い、AIを含めたロボット技術急速に進化していますし、それらを遠隔操作・監視する通信環境4G,5G,6Gと急激に進化していきます。 これからの農林業は、これらの技術導入なくして未来を切り拓くことなどできません。 日本はこの技術開発に投資し、世界に先駆けて低コスト農林業のモデルを作り、世界に技術を輸出する意気込みで取り組む必要があります。 

 すでにアスパラ収穫ロボットを実用化している中小企業があると聞きます。 ロボットはまだまだ進化し、人間を超えた仕事をすることが出来ます。 林業については過去に書いた当ブログ「令和の日本列島改造論 その2」に六本脚の木材伐採機械を提案してありますが、このような機械は農業にも利用が可能です。 林業では伐採のみならず、植林除草等もすべてロボットに任せることが出来ます。 農業では施肥耕起除草薬剤散布収穫までロボット化すべきでしょう。 

 政府は未来につながらない無意味なバラマキ補助金などに金を使わず、斬新な機構の機械に最新のAIを搭載し、低コスト農林業の基礎を作ることにこそ大きな投資をするべきです。