アパート経営指南 その4

                                                      共用部の工夫

 

 アパートの共用部と言えば「廊下」「階段」「エントランス」「ゴミ置き場」などがあります。 更に共用部においてある「集合ポスト」や最近人気の宅配ボックスも共用部の一部と考えられます。 共用部は部屋と違い多数の人が土足で利用するため、結構汚れます。 また、勝手に私物を置く輩やごみを置く輩もいます。 共用部が汚れだすと規範意識が薄れるため、どんどん汚くなっていきます。 共用部のきれいさは選ばれるアパートの条件の一つです。 

 それでは、コストを抑えながらきれいを保つためには、どんなことに留意し、どのような行動をすればいいのでしょうか。 

 

共用部での私物配置禁止

 共用部の廊下や階段下に私物のタイヤや自転車などを置く人がよく。いるものです。これを放置すると共用部はどんどん私物置き場になっていきます。 私は共用部の私物配置を一切禁止しています。 タイヤは物置に、自転車は自転車置き場に必ず持って行ってもらいます。 何度言ってもルールを守れない人は退去してもらいます。 ルールを守れない人に部屋を貸すより、退去してもらった方が結局は全体の入居率向上につながります。

 

定期清掃

 共用部の定期清掃は管理会社に任せている人が殆どでしょう。 管理会社は自前で清掃部隊を持っているところはごくわずかで、殆どは清掃業者に再委託しています。 清掃業者は業者の質の差が大きく、細かいところまで気を配って清掃してくれない業者も見られます。 

 清掃業者ではなく、シルバー人材センターで近隣の定期清掃希望者を探してもらう方法やNETで近隣の個人を探す方法などを使うとかなりコストダウンになりますが、一定の清掃品質を確保するために施工する個人に対してどこをどの程度のレベルで清掃しなければならないか説明し指導する必要が有ります。 

 私は清掃個所のマニュアルを作って渡し、内容を説明してレベルを確保しています。 この方法は希望者がいた場合はコストが安くきれいな仕事をしてもらえますが希望者がいなければ使えません。

 要は自分の目で見て、定期清掃が行き届いているかどうか確認し、もっとこうしてほしいという点があれば清掃業者に改善を要望することです。 その上で、自分で出来ることは自分でも行うと、よりきれいな状態を維持できます。 私は訪問したついでに、共用部のゴミ拾い除草剤の散布を自分で行っています。

 

「廊下」「階段」「エントランス」

 アパートの中にはエントランスなどが屋内にある物件もあります。 大体は殺風景なので、私は椅子テーブルを置き、壁に絵画などを飾っています。 椅子やテーブルはあまり親しくなくて部屋へ入れたくない人と話をするときに使えると思い置いたのです。 絵画は高価なものだと盗難の恐れがあるので、リサイクルショップを回って1万円以下で自分が気に入ったものを飾っています。 入り口から華やかさが有るので、アパートの格を上げることが出来ます。 

 

 内部共用部の灯火は入居者から頂く「共益費」で維持管理する訳ですが、入居者募集競争が激しい昨今では共益費で電気・水道・エレベーター・TV受信・インターネット・清掃・ゴミ処理等の費用をすべて賄うのは大変です。 このため、灯火はLED化を進めています。 また、日中消灯しても良い灯火は回路に明かりセンサースイッチを採用して、昼は消灯するのです。 一時的に費用が発生しますが、長期的にみると電気代とメンテナンス費が削減され、結果コストダウンになり省エネにも貢献します。

 

ごみ置き場

 戸建て住宅と違い、アパートは入居者の公共意識差が大きく、ごみもきちんと分別して出さない方も見られます。 ごみ行政が回収するのが原則ですが、行政は分別されていないと回収していってくれません。 結果、未回収のごみ長期間滞留し増え続けるということが発生しがちです。 

 これを完璧に防止し、ゴミ置き場をきれいな状態に保つには民間回収に頼るほかはありません。 民間回収を依頼すれば月数千円~一万数千円かかりますが、分別の悪い物でも全部回収していき、掃除もしていってくれます。 ゴミ置き場の美化のためには、必要な費用だと思います。

 

「集合ポスト」「宅配ボックス

 集合ポストでの問題は宣伝チラシ無断投入です。 殆どの人は不要なため、ポスト上部等、その辺に置いていきます。 風が吹き込んだりして散乱して、見苦しきなることが多いものです。 私は100円ショップのプラスチック籠を買ってきて、不要チラシ入れと書いておいてあります。 毎月定期清掃時にこのチラシを片づけてもらえば、散乱は無くなります。

 宅配ボックスはまだ設置してあるアパートは多くありませんが、段々と必需品に近づいてきました。 入居者の部屋を選ぶ際の条件になりつつあるので、設置スペースが確保できれば設置した方が良いようです。 私は入居率の下がったアパートの、入居対策の一つとして、少しづつ増やしています。