開発人生記 その18

地下室のお話

 

 欧米では住宅に地下室が併設されているのは一般的なことであるといわれているが、日本では地下室付き住宅というのは稀にしか見られない。 理由はいろいろ言われているが、最大は「コスト」と「湿気」であろう。

 日本の住宅の多くが創られる平地は沖積層地盤が多く、当該地盤は締りが緩くて崩れ易く、地下水位が高くて掘削すると水が出てきて更に崩壊しやすくなるので掘削コストが高額となる。 また高温多湿な時期が長い国なので地下には湿気がたまりやすく、かびが発生し易い。 これらのことから、日本の家屋で地下室が有るのは本当に稀である。

 

 私は学校を卒業後10年弱建設機械メーカー勤務後に独立していろいろな事業を行ってきたのですが、次第に地下地下水のことを扱う事業になっていきました。 なぜかというと地下部分は土質や性状が千差万別で地域によって大きな違いもあり、全国版の大手企業が事業として取り組むには不適な領域と考えられており弱小企業でも工夫さえすれば十分に存在感を発揮できる分野と考えたからでした。 このため地下部分工事施工技術を向上させる研究には特に力を注ぎました。 過去に公開した「開発人生記」も地下部分の工事を合理化し「コストダウン」や「工期短縮」を目指す機械の開発が多いのもその為なのです。

 この地下にこだわる事業展開をしていたことから、自宅を新築する際に地下室を作りたいと考えていました。 地下というのは温度変化が少なく、地下3mくらいになれば1年中地温はほぼ一定でその地区の年間平均気温となっています。 すなわち暖冷房費を殆ど使わなくても良いこととなります。 人間が住む地下室となれば空気の出入りはありますから年間一定温度とはいかないでしょうが、地上の部屋に比べてかなり温度変化が少ないことが想定されます。 実際に作って住まいして観察しないと地下室の良し悪しを評価できないと考えていたのです。 

 40歳の頃、借家住まいをやめていよいよ持ち家を建てようと思ったとき、建築業者に地下室併設の提案をさせました。 私が造ろうと考えた地下室は全く窓のない完全な地下室です。 地下室でもドライエリアという天井が外部に開いている部分が有るものもありますが、これでは外部の影響がまともに地下室内にも影響する為本来の地下室の特長が出にくいと考えたからです。

 建築業者は大手の住宅メーカーでしたが地下室建築の経験は殆ど無いようで、地下部分だけで小さな家が一軒建つような価格でした。 地下居室部分は20畳程度あり、これに階段室が付いた構造です。 全く窓のない鉄筋コンクリートの箱構造です。

 

         

 

 住宅を建てる前に、洪水対策等を考えて敷地境界に強固なコンクリート壁を立て、地盤を1mかさ上げしました。 しかし私が住宅を計画した地域は地下水位がGL-2m程度なので、地下室を作る時の値切り深さ4mを考えるとかさ上げを考慮しても最深部1m程度は地下水があって掘削は困難です。 そこで根切り時から構造物をつくりある程度埋め戻すまでウエルポイントという地下水位低下工法を施工し、地下水が出てこないようにしてから掘削を行いました。 ウエルポイントのポンプを回すためには15kw~20kw程度の動力電源が要るのですが20日間程度の工事となる為仮設電源を設置せず発電機で対応しました。 近所の人は住宅を建てるために24時間発電機を回していたのでいったい何をしているのだろうといぶかったことでしょう。

 地下室の躯体が出来たら外壁面防水します。 コンクリートは水を通さないと思っている人が大半でしょうが、コンクリートにも微細な隙間が有る為僅かずつですが水が染み込みます。 外壁面の防水はその隙間を埋め殆ど水を通さない層を作るのです。 

 防水工事が終れば周囲を埋め戻します。 敷地は100坪以上と余裕が有った為、土留めは使わずすべて法切りオープンカット掘削したので、埋め戻しもかなりな土量となりました。 埋め戻し土は砂質土で転圧したら締り易い土が良いのです。 この土を30cm~40cm程度の厚さで敷き均し、充分に転圧することを繰返して地表面まで埋めてくるのですが、私の家ではこの埋め戻し~転圧の作業がきちんと成されていなかったため後々地下室周囲の沈下苦労することとなりました。

 

 躯体が出来たら階段や内壁等の木工事になります。 内部の工事に関しては地下室だからと言って変わる部分は少なく、機械換気が義務付けられているので換気装置とそのダクト配管はありますがそれ以外は普通の部屋と大きく変わることはありません。

 完成して使いだしたら、地下室の環境はどう変化していくのかを観察するため温湿度記録計最高最低温度計などを配備して観察を始めました。

  

 

 地下室を何に使っているかというと、最初のうちは妻がカラオケルームとしてカラオケの練習をしたり音楽を聴いたりしていたようですが、今ではあまり使わなくなり私が朝ヨガ筋トレ・柔軟体操をするのに使っています。

       

   

 

 人の出入りが少ないのであまり汚れませんが、それでもホコリは積もります。 少しでもきれいな状況を保つため空気清浄機を置き、床はルンバが週一くらいに自動清掃するようにセットされています。

   

 

 床はルンバが掃除してくれますが、その他のところの掃除用に電池式のクリーナーもおいてあります。

        

 地下室は温度変化が少ないといっても冬はやや寒く、夏は運動をするとやや暑いので小さな電気ストーブ扇風機はおいてあります。

  

 

 階段室の下側は棚を置いて物置になっています。

          

 

 部屋の数か所に湿度調整用消臭用として炭や消臭剤をぶら下げてあります。

  

 

 このようにいろいろなもの置いて使っている地下室ですが、長年観察していて地下室の環境変化管理要領などが次第に分かってきました。 地下室に興味がある方、是非地下室が欲しいと思っている人に役立つ情報を提供したいと思います。

 

 地下の温度は1年中ほぼ同じなので、地下室の壁の温度も天井部分の浅いところを除き一定に近くなります。 先に紹介した計器を置いて室内環境を観察しているのですが夏の地下室内気温はMAX26℃~28℃、冬はMIN12℃~14℃となります。 幅が有るのは年によって猛暑や極寒の年が有るからです。

 夏に外気温が30℃以上となったときそれが室内に流入すると温度差で壁に結露が発生します。 壁に直接暖気が当たらなくても暖かい空気が地下室に流入して冷やされると相対湿度は急上昇します。 観察すると6月~9月地下室内相対湿度はほぼ100%です。 このためカビが生えやすくこの対策を怠ると地下室は使えなくなります。 除湿器をガンガンかければ湿度は下がりますが、毎日の水捨てが面倒で電気代も高額になり室温も相当上昇します。 地下室の恒温性が失われますので本末転倒です。 カビ対策をしっかりすることが現実的です。 対策の要点は下記の通りです。

・天井灯は常時点灯とする

 明るいところはカビが発生しにくいものです。 現在では天井灯はLED灯が2灯ついていますが、常時点灯しています。 光の当たるところはカビの発生は少ないものです。 常時点灯することでかなりカビの発生は少なくなります。

・年1回はカビ取りをする

 光の当たらないところはそのまま放置するとカビが蔓延しますので、毎年1回年末の大掃除時に家具などを移動して清掃・カビ取りを行っています。 毎年していればカビは発生していますが拭き取ればとれるレベルです。 私はMOS-Aというカビ除去剤でカビを殺してから拭き取っていますが、カビキラーでも良いと思います。 カビを殺して除去し、そのあとにリセッシュやファブリーズなどの除菌剤を散布しています。

・5月頃に除菌剤散布

 天井灯の光が当たりにくい家具の裏絨毯の裏棚の裏側などに除菌剤を散布。 また隅のほうなど光の届きにくいところはよく観察してカビらしきものが少しでも見えれば除菌剤を散布します。 これを怠ると6月の梅雨時期にはいたる所にカビが見えてきます。

 

 これらをしっかり実行しているので、今のところ地下室の使用に特段の障害は発生していません。

 このように地下室の環境研究などを続けていたある日、「地下室のある家」の建築をPRしていた某工務店を営業訪問した際、地下室建築の下請け施工を打診されました。 じつはこの会社は一般のハウスメーカーがあまりやりたがらない地下室付き住宅に特化した住宅販売営業を近年始めたのですが、困難に直面していました。 地下室を作るには4m程度の深さまで地盤を掘削する必要が有ります。 

 本ブログの冒頭に記したように日本の平野部は沖積地盤が多く軟弱な上、地下水位が高いので掘削すると崩れやすいのです。 地場の土建業者に掘削を依頼したところ掘削途中で水が出てきて掘削面が崩れ出すと自社ではできないと言って投げ出して帰ってしまったそうです。 元請けとして請けた仕事を完成させなければならず大変な目にあったので、当社のような地下に詳しくきちんとした掘削計画を立てられる業者に下請けをお願いしたいと言われたのです。 しかもすでに2棟の「地下室付き住宅」の受注が有るが下請け施工者が決っていないので見積してほしいと依頼されました。 

 これを契機に当社はその会社の地下室部分のみの専属下請け施工班をつくり、5人1組の施工班一班がほぼ常時地下室築造を行うようになりました。 10年位は施工したと思いますが、建築構造計算書偽装事件(通称姉歯事件)を契機に建築確認申請が滞ったり構造変更が必要となりコストアップになったとかして某工務店は地下室付き住宅事業から撤退してしまいました。 そこで当社の地下室施工班も解散となったわけですが、富山県、石川県で沢山の地下室を作らせていただきました。 当社の見積もり通りの価格で発注いただいていたので、きちんと利益も確保させてもらいました。 技術を磨いておくと向こうから仕事が転がり込んでくるのです。

 

 私の家は住宅の地下室だけでなく、車庫も地下にあります。 この地下車庫を作るのにも小さな家が建つくらいの費用が掛かりました。

    

 

 道路からスロープで地下部分に降りて行って駐車するのです。 最深部は道路面から2.5m位下がっていますがシャッターを閉めると地下に有ることはわからなくなります。

       

 

 また、前面道路からシャッターまでのスロープは屋根が無いので雨水が流入します。

         

 

そこで車庫最深部にはピットが有って、流入した水を排水する水中ポンプが備わっています。

            

 一定の水位になると動く、自動排水ポンプです。

      

 またスロープ部分に雪が積もるとタイヤがスリップして登れなくなるため、スロープ部分には「開発人生記 その5」で紹介した無散水融雪が施されており雪を融かすようになっています。 そのための井戸融雪用のポンプが排水ポンプの隣にあります。 

           

 井戸は「開発人生記 その8」で紹介した浅井戸工法で掘ったものです。 地下車庫築造前に作っておいて、築造時に地下車庫床面近くで井戸パイプを切断したため、パイプを床面近くのジョイント部で取り外すと地下水が自噴します。 災害時には停電していても地下水を汲むことが出来ます。 

 

 なぜ、地下に車庫を作ったかというと庭を広くとる為です。 駐車場の上は庭になっており、庭木も沢山植えてあります。 春には八重桜、芝桜、シャクナゲ等が咲き誇ります。

            

 庭が広くなる以外にも地下車庫のメリットはあります。 地下にある為シャッターを閉めると中は冬暖かく夏は涼しいのです。 このため冬の降雪時に車に雪が付着した状態で車庫に入れても数時間後には全部溶けてきれいに乾いてしまうため、雪を落とす手間も要らず車の痛みも少ないのです。 

 

 大きなお金をかけて地下の利用を探ってみましたが、結論から言うと地下室はメリットもありますが、日本では掘削コストが大きくて「コストパフォーマンス」が悪いのと湿度が高いのでかび対策が大変なので一般の人にはお勧めではありません。 窓のない完全な地下室ではなく、一部の天井部分が解放になったドライエリアを有する地下室であれば日光が入る分カビは抑えられる可能性がありますが、その場合はエアコンが必須になると思います。 

 お金に余裕が有って定期的にかび除去などのメンテナンスをまめにできる人であれば、完全な地下室には防音性恒温性という大きなメリットが有るので、特定用途でのメリットが享受できると思います。 

被災地応援アイデア

企業版ふるさと納税のすすめ

 

 今回の能登半島地震能登に壊滅的な被害を与えた。 それでなくても人口減少に悩んでいた自治体は今回の地震で多くの住民が流出し、復興とともに一部の住民が帰還しても人口半減は避けられない状況となっている。 その復興にしても地盤の隆起や沈下等でのインフラや施設の被害も膨大で、天文学的な予算を要すると考えられる。 能登地方のこの苦境を乗り切るには、日本全国からの応援が必要と思う。 体を出せる人はボランティアで、出せない人は金銭で、自らの出来るだけの応援をすることが全国に広がれば一人の力は小さくても大きな力になることでしょう。

 

 私もわずかでも応援しようと、特に被害が大きかった能登北側5市町寄付を思いついた。 幸い私の会社はそこそこ利益を出しているので、寄付をすることは節税にもつながると思い、寄付税控除の調査をしてみたら次のような知見を得た。

 普通に自治体に寄付をすれば会社の経費となり、概ね寄付金額の30%程度法人税納額が減少します。 更に寄付を企業版ふるさと納税とすれば最大6割相当額の税額控除が受けられるため、自己負担分は実質10%程度になるということが分かりました。 

 企業版ふるさと納税というのは正式名称を「地方創生応援税制」といい、国が認定した地方公共団体地方創生活動に対して企業が寄付を行った場合に法人関係税から税額控除する仕組みのことです。 従って寄付しようと思った自治体が国の認定を受けた地方創生活動「まち・ひと・しごと創生寄付活用事業」を行っていないとこの制度は使えません。 そして寄付金額10万円以上と決められています。 もちろんふるさと納税ですから自らの本社が有る自治体では使うことが出来ません。 また返礼品もありません。 純粋な自治体応援です。

 一般のふるさと納税では「さとふる」や「ふるなび」といった納税サイトがありますが、企業版ふるさと納税でも代理受付事業者が有ります。 もちろん自治体に直接寄付申し込みをしても良いのですが自治体職員も人手不足で忙しいうえ、被災自治体などは職員数自身が減少したりしていますので代理事業者経由の寄付が良いと思います。 因みに当社は「ふるさとコネクト」というサイトを使いました。

 

 日本ではいろいろな会社、特に大企業の本社東京に集中し東京は多大な税収がありますが、地方は万年税収不足国税からくる地方交付税交付金頼みです。 地方交付税以外にも各種の補助金助成金が有りますが地方自治体にとって国からの補助金は殆どが使途限定の為自らのアイディアでできる事業は予算が限られます。 この中で企業版ふるさと納税はアイディアで地方創生を図る自治体を直接応援できる、いわば税の再配分の機能があると思います。

 

 コロナも収束し、インバウンドも激増しつつあり、景気は上向きで増収増益企業も続出しています。 何しろ実質自己負担寄付金額の1割だけです。 利益を出している企業はこぞって企業版ふるさと納税をしてほしいと思っています。 

 これからも災害大国日本ではいろいろな災害が発生するでしょう。 国ももちろん復興に尽力するでしょうが日本中の企業がこの制度を用いて被災自治体を応援することが常識化すれば、復興は劇的に早まり、特色ある地方自治体が増え、ひいては人口の東京集中の緩和・人口再配置に繋がり、日本全体の国力向上、国土強靭化に繋がっていくのです。

家庭菜園奮闘記 その68

今冬の菜園

 

 今年の冬は気温があまり下がらず、雪も少なく暖冬で過ごしやすかったですね。 一晩で20cm程度の積雪が2回ありました。 東京なら大雪だと騒ぐでしょうが富山では生活に影響することは殆ど無いレベルでしょう。 暖冬だったおかげで菜園に通うことも出来たので、冬でも結構収穫していました。 今冬の菜園の様子を紹介いたします。

 

 毎年大根白菜は雪が降る前にある程度の量を収穫して、大根は自宅庭に埋め白菜は新聞紙に包んで勝手口保管をしていました。 しかし今年は秋から暖冬予想だったので、大根や白菜は畑に置いたままで随時収穫していました。 予想通り暖冬だったため、畑で収穫できなかったのは降雪後の3~4日のみで、殆ど雪で収穫が出来ないということが無く過ぎた冬でした。

         

 寒い年には大根白菜の地上部が凍り、その部分から腐ってくるのですが今冬は凍結するほどの寒さがあまり来なかったので大根は写真のように元気に育っています。 白菜は収穫して家に新聞紙でくるんで置いておくと腐らず春まで食べることが出来ますが、徐々に水分が抜けて食感筋っぽくなってくるのです。 今年は畑に置いたままなので今頃になると頂部が少しやられていますが内部は大丈夫で美味しくいただくことが出来ます。 しかし、春が近づいてきたので葉が少し開いてきました。 もうすぐ中から菜の花が顔を出すのでしょう。 菜の花つぼみのうちに収穫し、美味しくいただくことが出来ます。

 

 ホウレンソウは防寒覆いをしないと冬は乗り切れませんので、雪が降る前に覆いをしました。

                                        

 覆いが有ればその中で冬でもホウレンソウは成長します。 陽が弱いので写真のようにやや軟弱に育ちますが、軟らかくて美味しいものが収穫できます。

 

 春が近づくと分葱(わけぎ)が芽を出してきます。 下の写真は昨秋に球根を掘り上げて植え付けたものです。

         

 わけぎの一部に防寒覆いとして透明シートをかけてみました。 写真で見るように防寒覆いをすると成長はぐんと早まります。 覆い無しと覆い有りとすれば時期をずらして収穫出来るので、楽しむ期間が長くなります。 今年はホタルイカが昨年よりもとれそうで、一緒に酢味噌和えで楽しもうと思っています。

 

 昨年夏の暑さに負けてあまり大きくならなかったネギもいまだに小さいので一部に防寒覆いをかけてみました。

 10日余りで写真のような差になりました。 少し保温をするだけでこんなに差が出来るのです。

 

 アスパラは収穫を始めて3~4年が経ちました。 毎年立派な芽が出てきて美味しくいただいています。 今年はまだ芽を出しませんが、10株程あるので下の写真のように、その一部に透明シートの覆いをかけました。

         

 昨年覆いをかけたところ芽が出るのが数日早くなりましたので、今年もかけてみました。 アスパラは毎年同じ場所で芽を出すので、肥料不足になりがちです。 そこで毎年秋に地上部が枯れたら撤去し、発酵鶏糞をたっぷりと表面に散布しておくのです。 冬の保温施肥を兼ねて与えているので太いアスパラが長期間生えてきます。 昨年は3月下旬から9月下旬まで半年間収穫することが出来ました。 一部に防寒覆いをすることにより、より早くより永く楽しむことが出来るのです。

 

 昨夏の暑さで大方の苗が枯れてしまったイチゴも残った苗につぼみが出てきました。

        

 写真のように今年のいちご苗は昨年より小さく、元気さもいまいちです。 これから暖かくなって成長し、美味しい実が沢山実ることを祈るのみです。

 

 冬は家庭菜園をあきらめて世話をしない人が殆どではないかと思います。 確かに大雪の年は雪に埋もれて近づくことさえ出来ない年もありますが近年の温暖化で大雪の年は少なくなり冬でも菜園に行けることが多くなりました。 このように少し防寒覆いをするだけで冬でも菜園で収穫できる年が多くなったのです。 

4月になると菜園作業も本格的に忙しくなります。 今年も頑張って美味しい作物を沢山収穫したいと思っています。 今年も猛暑かな? 今から猛暑対策も考えます。

開発人生記 その17

新しい機械を開発したい人に向けて

 

 世の中には「こんな機械を作ったら面白い」と思っている人は沢山いると思う。 しかしそれを実際に作ってみる人はほんの一握りであろう。 ましてや、それを世に出してビジネスとして成功するのは非常に稀なことである。 しかしこれを成し遂げることは究極の「わくわく人生」を過ごし「人生の成功者」として世に認められることとなるので、思いを実現すべく挑戦する人が一人でも増えるように小生の経験をお伝えしたいと思う。

私の過去のブログ「開発人生記 その1」にも記したように、私は機械工学を学んで「特殊土木工事」を生業としていたので、土木工事用の様々な機械を開発して世に出してきました。 これらの経験から「是非こんな機械を作ってみたい」と思っている人や企業に向けて、「今まで世の中に無かった機械」の開発は、どんな手順で進めたら実現できるか、現実的な手順を紹介したい。

 

 最も簡単な手法は、自らの構想を手書きのポンチ絵みたいな形で示しただけで、図面化した上で製作できる能力が有る設計・製作会社を見つけることである。 街の鉄工所では簡単な構造のものであれば設計製作してくれるところはいくつか見つかると思う。 ポイントはその会社で構想を理解して図面化できる技術者が居るかどうかであろう。 

 物を作るにはいろいろな部品を作って組み合わせて完成するのであるが、一つの鉄工所ですべての部品を加工できるわけではなく、自分の会社で加工できないものは外注加工をしてもらうのであるが、その場合に図面は不可欠だからである。

 私が開発したものでいえば、以前に本ブログで紹介した「円筒バケットは鉄工所に設計製作してもらった例である。

    

 

 少し複雑な機械であったり、設計製作会社が見つからない場合は先ず機械設計会社を探して構想を図面化してもらい、その図面通りの物を作ってくれるところを探すのである。

 例えば、私が開発時に図面作成を依頼しているアクティブオフィス(ホームページ:active-office.co.jp)はアイデアを図面化してくれる機械設計会社です。

 図面が有れば製作だけを請け負う会社は多いので、探すのは比較的容易であろう。 過去に私が開発したもので言えば以前のブログ「開発人生記 その13」で紹介した「スーパーナロー工法の開発」がそれにあたります。 

   

 

 「開発人生記 その13」に「開発にはイデアを考える人、それを図面化する人、図面に基づいて製品を造る人が必要です」と書きましたが、まさにこれが開発の基本形なのです。 

 ただ、この図面化するにあたって詳細な専門知識を要する個所がかなり頻繁に表れてきます。 機械開発において機械構造以外で特に専門知識が必要な分野は電気的な制御部分油圧装置の部分です。 「スーパーナロー工法」は油圧作動部分が多い機械であったので「油圧装置」の設計に詳しい人を開発メンバーに加わっていただきました。

 

 更に高度な機械を開発するにはその道の専門家に参加をお願いする必要が有ります。 以前のブログ「開発人生記 その7」に書いた六脚の機械は現在も開発継続中ですが六脚の機械をスムーズに歩行させるのには相当高度な電子制御技術が必要です。 このため電子制御の専門家がメンバーに必要なので、以前に書いたように大学の先生にお願いして参加してもらっています。

 大学の先生は民間からの開発計画に参画を求められると自らの研究の一環として取り組んだり、学生の研究テーマとして教えながら学生に研究させたりして進め、この時必要になる資材の購入費などを大学に対する寄付として当方から提供するのです。 大学も学費や国の補助金以外の自主財源確保を要求されている時代なので、開発テーマをこなせる専門の先生が居れば協力してくれることが多いのです。

 このように機械の開発とは専門家の知見の結集をおこなうということなので、自らの人脈を総動員して専門家を探したり、自治体や大学又は国の開発支援機関などに相談したりして出来る体制を整えていくのです。 

 

 どんな開発でも開発が完了して市場投入できるまで当該事業で収入は無く、支出が有るのみです。 テーマによっては国や自治体からの助成金が受けられる場合もありますが一部助成が殆どであり、自己資金の確保は必須です。 従って全く新しい機械を開発したいとの思いを持っている人は先ず想定される開発費自己資金としてすでに持っているか、賛同してもらえるスポンサーに提供してもらえる人でなければ取り組みは困難であると思われます。 スポンサーを探すのには事業の有用性や優位性、開発のタイムスケジュールや開発後の事業計画策定など開発以外の諸事もこなす必要が有ります。 これらのことを毎日一歩ずつ根気よく進めることが出来る人だけが完成という到達点に立つことが出来るのです。 

 しかし、この楽しくも根気のいることに多くの人が挑戦することは個人の人間的成功にとどまらず、日本の知的財産を増やして産業を活性化し、国力の向上ひいては国民全体の幸福度向上につながるのです。

今年の初め

2024年の幕開け

 

 今年は年初から大変な年になりましたね。 「あけましておめでとうございます」を言う間もなく大災害、大事故が発生し、大変な1年となる予感さえ致します。

 私は年末30日から東京から来た長男一家と合流して、沖縄に滞在していました。 さすがに沖縄までは能登半島地震の揺れは届かなかったので、大災害はテレビで知ることとなりました。 「最大震度7というめったに聞かない地震の激しさに驚愕するとともに、「自宅はどうなっているか」という心配がわいてきました。 また昨年より町内4班で構成する町内会の会長を仰せつかっていましたので、町内火事けが人が出ていないかも心配でした。

 すぐに町内会副会長に電話して町内の様子を聞くと、町内での被害は大したことはなく火事や怪我人はないようです。 家屋の倒壊や大きな破損も無いようなので、一人暮らし高齢者等の安否確認を防災会の役員と行うようにお願いしました。

 2日の11時頃に那覇空港から小松空港に向けて帰る予定でしたが地震直後の小松空港大津波警報が出たため閉鎖になってしまいました。 しかし翌日には津波注意報に切り替わったので小松空港は再開し、なんとか小松空港までは帰ってきました。 

 小松までは自家用車で行っていたので駐車場から車を出してナビを設定して走り始めました。 すると、ナビは来た時とは違う道を案内し始めました。 乗っていた車は一昨年に買ったばかりのプリウスPHVですから、最新のナビが搭載されています。 地震の影響で高速道路がいたるところで通行止めになっているので、通行止めを避けて通れる道を案内してくれるのです。「ナビも進化したな~」と感服して走ってきました。

 結局高岡の自宅に到着するまでに高速道路は金沢西~金沢東間のみで、あとはすべて一般道を通ることとなりましたが2時間程度で自宅まで帰ることが出来たのです。

 自宅の地震被害を心配しながら帰ってきましたが、家の中はわりと平穏で小さな置物が落ちたり人形ケースが変形したりは有りましたが、思ったほどではなかったので胸をなでおろしました。

 自宅に到着して荷物を片付けながらテレビを見ていると、大変な画像が目に飛び込んできました。 羽田空港での日航海保機衝突事故映像です。 

 最初はTVのニュースキャスターも何が起きたかわからないようでした。 日航機が着陸して地上滑走していたら突然爆発したように見え、暗いので海保機が見えず爆発の原因が全く分からない様子でした。 しばらくすると海保機との衝突との情報が入ったようでしたが、人的被害の報道がなされたのはかなり後になりました。 私は「着陸する滑走路に他の飛行機が入ることは絶対にないシステムになっているだろう」と思っていたので、驚愕の思いでニュースを注視していました。 

 私たち夫婦は2日午前中に那覇空港を発ちましたが長男一家は同日18時過ぎに那覇空港を発ち、羽田空港に降りることになっていました。 2日朝は私たちの小松行き飛行機が飛ぶかどうかを心配していたのですが、今度は事故で長男一家が東京へ帰る飛行機が飛べなくなりました。 結局長男一家は前泊したホテルを再予約して一泊し次の日に東京へ帰ったようです。

 本当に人生、いつどんな目に合うか全く予想が出来ないものですね。 激しい災害で幕を開けた2024年が以後穏やかに過ぎるように念じるばかりです。

家庭菜園奮闘記 その67

 いちじくの栽培

 

 以前の菜園ブログでイチジクの栽培状況を書いたことがありますが、今回は素人がイチジク栽培をするときの手法を書いてみたいと思います。 

 

 私が子供の頃、近所にイチジクの木が有りましたが、もらって食べてもあまり美味しいと感じませんでした。 結果、私の中では「イチジク=美味しくない果物」というイメージが出来ていました。 ところが近年は美味しいイチジクが沢山出てきたようで、私が菜園を始めてから苗をもらって育てたものは大変甘いものでした。 

 最初は育てる知識も少なく、あまり考えずに適当に剪定しながら育てていたところ木がどんどん大きくなって、実も沢山つけるようになりました。 なり始めてから数年はあまり被害が無かったのですが、そのうち(主にムクドリ)が来て実ったものから食べていくようになったのです。 木が小さいうちは木全体に網をかけて防いでいたのですが、だんだんと木が大きくなってきて網をかけても下の方が開いた形にしか網をかけられなくなりました。 するとムクドリは下の方から入って食べていくのです。 更に木が大きくなってきたため全体に網をかけるのが無理になったので網をかけずに放置して置いたところ、ムクドリの飛来がどんどん増え、100羽超の集団で食べていくようになってしまいました。 このくらい来るともう人間の口に入る前にすべて鳥の餌になってしまいます。 

 仕方なく手の届くところの実に一個ずつ網掛けをしましたが、木が大きいため手の届くところの実は僅かで多くは脚立を使用しないと網掛けが出来ません。 鳥が食べる実がなる木は大きくしてしまうと防鳥対策が困難となるのです。

 

 このことから、菜園を別の場所は引っ越して新たに始めた時から、イチジク栽培管理考えながら行うようになった結果、木の成長に合わせて管理しやすい形毎年剪定することとしました。

 プロのイチジク栽培農家は支柱を立ててある程度の高さで棚をつくり水平方向に枝を誘引して作業しやすい高さで収穫管理をしているようですが、我々素人は棚を作るのも大変なので私は剪定だけで木の姿勢を管理しています。

 下の写真はに実が付いている状態です。 写真で見るように今年出た実を付ける枝は上方向を向いて伸びる傾向があります。 

                               

 11月になると下の写真のように葉は枯れて落ちてしまいます。

         

 これを剪定すると下の写真のようになります。 一番高いところで2m程度に剪定しています。

  

         

 

 剪定の目的は ①着雪による枝折れの防止 ②収穫しやすい樹形の維持 ③陽当り、風通しの良い枝配置として病害虫を予防する といったところです。

 これを踏まえて行う剪定のポイントは次のようなところです。

  • 着雪し易い雪は細い枝でも太く着雪し折ってしまいますので、雪で折れないように枝の太さで強度を勘案し、切り戻す。                                      
  • 木の幹は1本仕立てとして、地際から出てくる枝やひこばえはすべて切り取る
  • 上の方に伸びた枝はそれ以上伸びると実を採れなくなるので切り取る。
  • 枝が密になると害虫が付きやすくなり実も取りにくくなるので、来春に枝が繁茂してもすべての枝葉に陽の光が当たるくらいに枝を間引く

 

 特にこの②番の事項は果樹に共通で、果樹は地面から1本で育てなければなりません。 ひこばえを何本も生やすと中心部は害虫の巣となります。 イチジクは特にひこばえが生えやすく、全く剪定をしないで放置すると下の写真のようになります。

          

 このような姿勢になると地際部分は害虫の巣となり、特にイチジクでは最も被害が大きいカミキリムシが大量に繁殖します。 剪定により樹形を整えると害虫が来ても見え易いため鳥や他昆虫などの天敵が捕食し、多くは自然に駆除されます。 稀に産卵して幹に幼虫が侵入しても侵入の形跡を発見しやすく、見つけ次第殺虫剤注入で駆除できます。

 一本仕立てをしていても、下の写真のようにひこばえはどんどん生えてきます。

          

 根元に生えてきたひこばえは根を付けたまま切り取って移植すると容易に活着するので繁殖に利用できますが、利用しない場合は早めにすべて撤去します。

 

 良い実をならせるには肥料も要りますが、私は発酵鶏糞を根元に散布しています。 大雨が降ると根元の土が流出しやすいのですが、発酵鶏糞を厚く散布しておくと保水力が有る為土は容易には流出しなくなります。 その代わり鶏糞中にはミミズが繁殖するのでそれを求めてイノシシが頻繁に掘り返すようになりました。

      

 イノシシが掘り返してもイチジクに影響は殆どないので、被害は整地の手間が増えるということだけです。

 

 このように準備してやれば、あとは来春芽を出した枝に実を付け収穫することとなります。 以前にも書いたように実がある程度大きくなったら1個ずつ網掛けをして鳥害を防ぎます。 実が見えないように網掛けをすれば、鳥害は殆どなくなります。

 野菜も果樹も手間をかけた分だけ美味しく実ることで世話をする人の苦労に報いてくれるのです。

令和の日本列島改造論 その20

自転車は歩道走行を原則とすべし

 

 日本の法律では自転車も車両の一種で走行するときは車道の左端を走らなければならない。 これに違反すると「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」に処すと道路交通法で決められています。 ところが現実には歩道と車道の区別が有る道路では、多くの自転車が歩道を走行しており、事故を起こさない限り警察に検挙されたという話は聞いたことがない。 

 私の体感では8割の自転車は歩道を走行している。 道路交通法の本条文は有名無実化しているのである。 実際、下記写真のように交差点で見かける自転車専用道は交差点を渡り切ったら歩道に入るように描かれています。 これでは普通の人は「自転車は歩道を走って良いのだ」と考えそのまま歩道を走るでしょう。 行政が歩道走行を助長しているのです。

    

 その一方で自転車が歩行者を傷つける事故は多発していますし、普通に歩道を歩いていて後ろから来た速い自転車に恐怖を感じることも稀ではありません。 他方、自転車に乗って車道を走ってみれば駐車中の車を避けて中央寄りに出るときなどは大変怖い思いをしますし、自動車の方から見たら不安定な自転車が車道を走っていると大変じゃまに感じる上、渋滞の一因にもなります。

 諸外国を見ても自転車は車道を走るのが主流であり、歩道走行は子供や障がい者などかなり制限された人しか許可されていないようです。

 しかし現実的に殆どの自転車が歩道を走っていて道交法の当該条文は破綻していますので、未来の日本を考えた時、自転車は歩道走行を原則とする仕組みを構築していかなければならないと思っています。 そして日本でそれが実現すれば、歩道走行が世界標準になるかもしれません。

 未来の日本を考えれば、急激な人口減少が待ち構えています。 人口減少というのは全国で平均的に減少していくのではありません。 都市部の利便性の良いところに人は集中して住み、辺鄙な過疎地で急激に人がいなくなるのです。 すなわち都市部への人口集中がますます進行するわけで、その場合の移動手段は公共交通、二輪車、徒歩が主体となっていくのです。 都市部でも、この移動手段が便利になっている地区が居住する場に選ばれる条件の一つとなり、人口を維持できる地区となるのです。 その重要な移動手段である自転車と歩行者の事故は両者の敵対関係の原因となりますので、事故減少の仕組みを構築する必要が有ります。 

 最も良いのは専用の自転車道を設けることです。 しかしこれには道路敷地にかなりな余裕がある必要が有り、日本の道路事情では出来るところは僅かでしょう。 次善の策として私は次のような自転車の歩道走行ルールを整備(法制化)すべきと思います。

 ルール① 自転車が歩道走行中は時速10kmに制限する

 ルール② 歩行者近傍5m以内は時速5km以下に減速する

   ルール③ 歩道上での片手運転、ながら運転、傘さし運転等を禁止する

   ルール④ 歩道走行中は身分証明書(マイナカードなど)の携帯を義務付ける

   ルール⑤ 歩道走行するには対人保険に加入を義務付ける(自転車専用の自賠責保険 制度を構築する)

 このルールを定めたうえで、自転車にはこの速度制限を遵守しているかどうか、一目でわかる装置の装着を義務付けるのです。 具体的には車輪に速度計測装置を取り付け、自転車前部と後部にLED灯を取り付け、10km超は赤ランプ、5km超は黄ランプ、5km以下は青ランプ点灯とするのです。 こうすれば周囲の人はルールが遵守されているかどうか一目でわかります。 新車には義務付け、既存の車には5年程度の猶予期間を設けて取付を促すのです。 大量に作ればコストは大した金額にならないと思います。 

 一方でルール遵守の為には時々取り締まりキャンペーンが必要となります。 最初は警告のイエローカードを渡す程度でしょうが、徐々に強化し反則金納付とするのが適当だと思います。 警察官の負担軽減のため、警告の民間委託を検討すべきでしょう。

 その一方で可能なところでは出来るだけ自転車道を整備し、自転車が快適に走れる環境を広めていく努力を行う必要が有ります。 自転車ルール違反の反則金自転車道整備に用いるべきでしょう。

 変化を嫌う日本の行政ですが、今のままのあやふやな自転車走行ルールは大変問題があると思います。 法と現実の乖離を無くし、事故を減らした上で利便性を高めるような前向きの変化を常に考えて取り入れていってほしいと思います。