アパート経営指南 その1

              アパート経営を始める

 

 「企業経営のお話 その4」で不況対策としてアパート経営に乗り出したお話を書きましたが、それから10年以上アパート経営をしてきました。 

 私のアパート経営は、中古アパートを購入しリノベーションを行って入居者を募るのが標準的な手法ですが、中には寮をアパートに改装した物件もありました。 また、24戸中7戸しか入居していない築30年超で解体予定のアパートを購入し、購入費の数倍のリノベーション費用を投じて再生し、満室にして売却した例もあります。 

 アパートを売買したり、いろいろな部屋をリノベーションしてきた結果、アパート経営のやるべきことや部屋をどのように変えれば入居者に選んでもらえるかが、だんだん分かってきました。 アパート経営をされている方、これからしようと思っている方の参考になるように、私が取り組んできたこと、これからやろうとしていること、やって効果があった実例などを紹介していこうと思います。 

 

おすすめは中古アパート

 私が主として中古再生アパートを手掛けているのは、投資利回りが新築では5~6%/年しか見込めないのですが中古なら15~20%/年を見込めるものも出てくるからです。 新築アパートは家賃設定をよほど間違わなければ満室にするのは難しくありませんが、中古ではそうはいきません。 しかし新築も10年もすれば中古です。 築10年と築20年のアパートであれば、築年数による競争力よりも価格や設備、立地や見栄えの方が競争力を左右します。 

 再生可能な中古アパートを安く買って徹底的に内外装のリノベーションを行えば十分に競争力を確保できます。 この時、リノベーション費用を含めて融資を受けることが出来ることと、その融資金額で算定して十分な利回りを確保できることが肝要です。 

     

■アパート経営の心構え

 アパート経営も経営ですから会社経営と同じです。 経営に必要なことは「変える」ということです。 殆どのオーナーは管理会社任せて、アパートの状況を見に行くことさえしていないようです。 これでは入居率が下がっても自分ではどうすることも出来ません。 世の中はどんどん変化していますから変化に合わせてアパートの内外部を変えていかなければ「選ばれるアパート」とはなりません。 選ばれるアパートにするためには、自分で見て、「こう変えよう」という判断をすることが必要となります。 そのために必要なことは、アパートに必要な時代のトレンドを勉強することと「銀行融資を充分に受けられる信用を得てから始める」ということです。 

 現在入居希望者よりもアパート供給戸数の方が圧倒的に多いため、入居者がアパートを選ぶ時代です。 きれい便利安くなければ選んでもらうことは出来ません。 心構えは、入居している人が「どうしたら快適に、満足して生活を送ってもらえるか」ということを常に考えることであると思います。 これを実現するために、

  • 常に最新の設備や器具などの勉強を怠らない。 
  • 自分の出来ることは自分ですぐやる。 
  • 自分ができないことをすぐやってくれるリーズナブルなリフォーム屋や専門業者を抱えておく。 

 ということが必要だということが分かってきました。

 

 アパートを買うと入居者の募集や入退去手続は管理会社に委託するのが一般的です。 管理会社は共用部分の清掃等も契約すれば請け負ってくれますが月に1回~2回が普通です。 共用部にはゴミやタバコの吸い殻を捨てる人もよくいますから、行くたびに自分でもごみを拾ったり除草をしたりすると共用部はきれいな状態を保つことが出来ます。 共用部のきれいさは入居者に選ばれるポイントの一つです。 

 最新の設備や器具などは、しっかりした管理会社なら提案してくれることも多いと思いますが、いちばんは自分で部屋を見て変えるべきところを判断できるようになることです。 

 私は今では外観リフォーム、間取り変更、和室を洋室に変更など大きな変更を含め、キッチン・照明器具・エアコン・水栓設備・インターホン設備などに至るまで、自分で変更を決め発注しています。

 

トレンドを勉強する

 時代に合わせて内外装を変える必要が有ると書きましたが、「どう変えるべきか」が分からないと変えようがありません。 例えば昔は畳の部屋が多くありました。 今では生活様式が変化したため、畳の和室は好まれません。 また、昔はキッチンが狭く部屋数が多かったのですが、現在ではダイニングキッチンが主流で、もっと広いリビングダイニングキッチンも多くなっています。 設備でもネット対応や宅配対応、安全対応等の重要性が増してきています。 このような時代変化を勉強してアパート設備を更新していくことが選ばれるアパートの条件となります。 

 

競争力確保はコストダウン

 競争力の最大要因は家賃です。 家賃を安く設定しても採算が合うようにするためには、イニシャルコストとランニングコストの低下が必須です。 品質を向上させながらコストを低下させるには、相当努力する必要があります。 イニシャルコスト本体購入額と初期リノベーション費用及び借り入れ金利の低下を図る必要があります。 私が行っている具体的なコストダウン行動を紹介します。 

  • 本体購入額

 本体購入額は自分で算定しなければなりません。 算定金額以下になれば購入手続きとなります。 建物の築年数や構造などで変わりますが、私はイニシャルコスト全てを融資で調達し、家賃等収入から諸経費を控除した残金で返済した場合に概ね10年以内で完済できる金額を目途としています。 

  • リノベーション費用の低減方法

 内外装の大規模リフォームをする場合はゼネコンに一括発注する人が殆どですが、私は専門業者に個別発注しています。 外壁塗装や屋上防水などの金額が大きいものは数社から見積もりを取り、最低価格の人と最終施工価格を交渉しています。

 また、業者は設備機器は問屋から購入するのが殆どですが、今ではインターネット販売の方が安いものが手に入ります。 ネットで最安値のものを探し自分で購入し、業者には機器支給で施工費のみで発注するとかなり安くできます。

 物件を見て、初期リノベーション費用を算定し、借入総額を決めて銀行に融資の申し込みをすることとなりますが、融資の金利世間相場を知って交渉により出来るだけ下げてもらう必要があります。 世間相場を知らなければ交渉のしようがありません。 銀行も数社に希望金利を伝え、融資に前向きな銀行と交渉します。

 

 次回から、購入した物件で実際に行ったリノベーションなども紹介していきたいと思います。