アパート経営指南 その3

                  部屋内部改装

 

 私は、退去して空き室となったアパートの部屋は、必ず見るようにしています。 入居者はほんの半年ほどで退去する人から10年以上住み続ける人まで様々です。 短期の場合はあまり補修個所はありませんが、長期になると補修は多くなってきます。 補修すべき個所には原因別に次のような分類があります。

  • 入居者汚損・破損したもの
  • 経年劣化汚損・破損したもの
  • 時代経過陳腐化または時代遅れとなったもの又は新規に設置すべきもの

 

1)については、入居者負担で補修出来そうなものですが、現実には国交省が示している負担割合があり、経年劣化で当然に家主が補修すべきものは入居者負担から除かれています。 従って長期に入居していた人が退去した場合は、かなり費用が嵩む場合が出てきます。 しかし、破損部分は大きなものがあれば入居者の保険で補修できますし、入居者が納得しない場合は家主がかけている火災保険でも補修可能です。 破損部は保険で補修可能ということを忘れないようにしなければなりません。

 

 2)の経年劣化がすすむ代表的な個所は「壁紙(クロス)」「」です。 私はクロス補修は塗装を主体にしています。 傷や剥がれが無ければ塗装で新品同様になります。 今は抗菌にも優れた壁紙専用塗料がありますし、不要なごみを出さないことは脱炭素にも貢献できます。 壁全体を点検し、張替え部分と塗装部分を分けて指示しています。 

 床には「フローリング」「フロアタイル」「クッションフロア」などいろいろな種類がありますが、私は基本「フローリング」とし、フローリング表面が傷んだ場合は「フロアタイル」を張ることとしています。 「クッションフロア」は温かみが有って軟らかく吸音性もあって良いのですが居間などに使うとテーブルや棚を置いただけで置き跡がつき、退去した後かなりな頻度で張替えを要します。 従ってクッションフロアはトイレなど重いものを置かない個所のみで採用し、その他の補修ではフロアタイルを採用しています。

 

 3)の時代変化に対する対応は様々なものがありますし、また今後も時代変化でどんどん変えていく必要が出てきます。 

 現在のトレンドで言えば大きなものは和室(畳部屋)の洋室化及びキッチンとダイニングの一体化(DK化)でしょう。 私の所有するアパートは中古で購入したものばかりですから、購入当初は和室の部屋がかなりありました。 入居者が入れ替わる毎にどんどんと洋室に変えていきました。 また、キッチンが狭く、6畳程度の部屋が3つもある部屋もありましたが、壁を取り払い間取りを再検討して2LDKに変えたところもあります。 面積に余裕があればリビングダイニングキッチン(LDKは大変人気があります。

 更に、収納を増やすことは入居対策に大変効果があります。 ウオークインクローゼットを造れる部屋が有れば、是非造るべきだと思います。 ワンルームなど、狭い部屋では天井近くの壁収納を造ると床面積が有効に使えるので、喜ばれます。 

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 上の写真はワンルームに作った壁収納の例です。 下側にはハンガーパイプも取付け、背が低い人のために踏み台も準備してあります。 細かい気配りで入居者の心をつかむことが出来ます。

 

 その他の現在の必須設備はウオッシュレットTVモニターホン照明のLED化でしょう。 この3点は入居者入れ替え時に必ず施工しています。 

 トイレに関しては、1Kや1Rといった狭い部屋でユニットバス内にトイレが有るものが多くあります。 現在ではバス・トイレ一体型は全く人気がありません。 かといってバス・トイレを別にする工事は大きな費用が掛かりますし、居間の面積もそれだけ小さくなってしまいます。 私は部屋の間取り変更するような大規模修繕の機会にはバス・トイレを分け、その代わり天井近くの壁収納を増設しています。 居間面積が減った分、収納を増やしてカバーするのです。

 TVモニターホンはセキュリティの強化に役立ちますが、近年スマートホンで施錠・解錠するスマートキーが登場しました。 このキーを採用すると入退去の度に鍵交換をする必要が無くなります。 また、鍵のかけ忘れも防止でき、鍵の紛失も無くなります。 オートロック機能もあります。 殆どの人がスマートホンを持つようになったため、私も一部の部屋で後付けタイプを試験的に採用を始めました。

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 ドアによっては後付けタイプのスマートキーが取り付けられないものもあります。    この場合は押しボタン式のデジタルキーキーレックスという商品があり、これなら大概のドアには取付できます。 これを付ければ退去時の鍵交換が不要となり、また入居者は鍵を持ち歩く必要がなくなるので、とても便利です。

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 必須ではないが、私が近頃便利グッズとして取付を進めているのが居間の部屋干し用器具と玄関の傘掛けです。 サンルームが無い部屋は殆どの人が下着などを干すために物干しスタンドを部屋に置くと思いますが、床に置けばただでさえ狭い部屋がますます狭くなります。 天井付けや壁付けの部屋干し器具であれば床スペースを使わないので、部屋広さを有効に使えます。 私は壁付けの下記写真のものを主に使っています。 これは幅2cm程度のテープを引き出せるようになっているもので、ロープ式のものと似ていますがテープに一定間隔で穴が開いているので干し物が一定間隔で干せるようになっているのが長所です。

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 傘掛けは下のようなものを使用しています。

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 玄関に傘が常備されていると、ドアを開けてから傘が必要と分かったときに、部屋に上がらなくてもよくなりますし、出かける時に忘れそうなものは予めここに掛けておけば忘れないで済みます。

 

 キッチン回りでは水栓のワンレバー化が求められています。 同様に風呂シャワー水栓サーモスタット付きが求められています。 ちょっとしたことですが、操作が面倒なものは人は嫌うのです。

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 時代が進むと部屋の設備もいろいろと便利なものが登場します。 新築で無ければ付けられないものもありますが、後付けできるものは出来るだけ入居者が喜ぶ設備に変えていかないと、入居率は向上しません。 今後も設備更新を続けていくつもりです。