人間いろいろ

                        一億総活躍社会--------------活躍する人の増やし方

 

 私は、当ブログ開始時の「ブログ初挑戦」に記載したようにいくつかの会社を創業しましたが、創業当初の人材採用・労務管理をしている際に、「人間はいろいろだな」と思うようになりました。

 呉西工業という会社の創業時は、社長の私と従業員1名の2人で特殊土木工事である「地下水位低下工事」を主業務としてスタートしたわけですが、少し営業すると仕事はどんどん入ってきました。 当然二人では手が回らないので、あらゆる知人を頼ってアルバイトや外注先を探し、ハローワーク等で求人を行ったのですが、総員2名の3K(きつい ・汚い ・危険)企業に優秀な若者が大勢応募するわけはなく、慢性の人手不足です。 ですから、とりあえず手と足がまともに動く人は、応募があれば全員即採用です。 

 

 このような採用の仕方をすると、世の中の普通の会社からスピンアウトされた「底辺の人間」が沢山集まってくることがわかりました。 

 どんなタイプが多くなるかというと、「毎日同じ時刻に起きて、会社へ行く」「わからないことを人に質問する」「約束を守る、守れない時は連絡する」というような、社会生活で必要とされることが出来ないタイプです。 

 このようなタイプの人でも、人間ですからおなかはすきます。 おなかがすくと飯のために“働かなくては”と考えて、応募してくるのです。 面接翌日から働く人が多いのですが、最初は緊張していますから、多くは遅刻せずに出てくるのです。 このタイプが出勤しなくなる最も多かったケースは給料日翌日です。 十数万円のお金が入ると、かなりの期間飯の心配がなくなるため、途端に働く気が失せるのです。 

 次に多かったのは1~2週間経った月曜日です。 最初の緊張が薄れてきて、日曜日に遊びすぎると月曜日朝、起きることが出来なくなるのです。 中にはこんな人もいました。 朝、会社に向かって出発するのですが、会社到着が始業時刻より10分ほどでも遅れたら、会社に入らずそのままどこかへ行ってしまうのです。 遅刻して到着すると怒られるのではと思い、会社に入れないのです。 普通の人は5分や10分遅刻しても「ごめんごめん」と言って出勤するのですが、心の弱い人は他人からのクレームが極端に怖く、このような行動が出来ないのです。 

 結果、せっかく就職できた職場をやめ、また次の職場を探すということを繰り返し、次第に歳をとっていき、応募できる会社もどんどん少なくなっていくのです。

 このタイプが歳をとるといよいよ働く場所がなくなり、生活保護になってしまうのです。

 このタイプを生活保護にせずに働いてもらうには、工夫が要ります。 自分で自分の生活リズムを作れない人なので、のような設備で起床・食事・就寝等の時間をきめて、他人が生活リズムを作ってやる必要があるのです。 仕事はコミュニケーション能力の高さを要求されない「手に職をつける」タイプがいいのです。 例えば、旋盤工・板金工・塗装工や芸術的素養があれば彫金美術品修復など、一人でもできて成果がわかりやすいものがいいと思います。 

 そして一人前になるまで根気よく先生や先輩が教えるわけですが、できないところを指摘するより、できたことをほめることを主にして教えると、長続きします。 このタイプは、できないこと指摘されると普通の人の何倍も落ち込み、ほめられると何倍もモチベーションが高まるのです。 

 若年で生活保護であるとか、引きこもりで親が食べさせているとかいう人はかなりな人数になるといわれているが、このような寮形式での生活、技能を身に着けさせる職業訓練に引き込めば、相当数が正常な社会人に戻れると思われます。 

 政府は一億総活躍社会を目指すのであれば、このような人も活躍してもらえるようなきめの細かい施策をすべきであると思う。