令和の日本列島改造論 その20

自転車は歩道走行を原則とすべし

 

 日本の法律では自転車も車両の一種で走行するときは車道の左端を走らなければならない。 これに違反すると「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」に処すと道路交通法で決められています。 ところが現実には歩道と車道の区別が有る道路では、多くの自転車が歩道を走行しており、事故を起こさない限り警察に検挙されたという話は聞いたことがない。 

 私の体感では8割の自転車は歩道を走行している。 道路交通法の本条文は有名無実化しているのである。 実際、下記写真のように交差点で見かける自転車専用道は交差点を渡り切ったら歩道に入るように描かれています。 これでは普通の人は「自転車は歩道を走って良いのだ」と考えそのまま歩道を走るでしょう。 行政が歩道走行を助長しているのです。

    

 その一方で自転車が歩行者を傷つける事故は多発していますし、普通に歩道を歩いていて後ろから来た速い自転車に恐怖を感じることも稀ではありません。 他方、自転車に乗って車道を走ってみれば駐車中の車を避けて中央寄りに出るときなどは大変怖い思いをしますし、自動車の方から見たら不安定な自転車が車道を走っていると大変じゃまに感じる上、渋滞の一因にもなります。

 諸外国を見ても自転車は車道を走るのが主流であり、歩道走行は子供や障がい者などかなり制限された人しか許可されていないようです。

 しかし現実的に殆どの自転車が歩道を走っていて道交法の当該条文は破綻していますので、未来の日本を考えた時、自転車は歩道走行を原則とする仕組みを構築していかなければならないと思っています。 そして日本でそれが実現すれば、歩道走行が世界標準になるかもしれません。

 未来の日本を考えれば、急激な人口減少が待ち構えています。 人口減少というのは全国で平均的に減少していくのではありません。 都市部の利便性の良いところに人は集中して住み、辺鄙な過疎地で急激に人がいなくなるのです。 すなわち都市部への人口集中がますます進行するわけで、その場合の移動手段は公共交通、二輪車、徒歩が主体となっていくのです。 都市部でも、この移動手段が便利になっている地区が居住する場に選ばれる条件の一つとなり、人口を維持できる地区となるのです。 その重要な移動手段である自転車と歩行者の事故は両者の敵対関係の原因となりますので、事故減少の仕組みを構築する必要が有ります。 

 最も良いのは専用の自転車道を設けることです。 しかしこれには道路敷地にかなりな余裕がある必要が有り、日本の道路事情では出来るところは僅かでしょう。 次善の策として私は次のような自転車の歩道走行ルールを整備(法制化)すべきと思います。

 ルール① 自転車が歩道走行中は時速10kmに制限する

 ルール② 歩行者近傍5m以内は時速5km以下に減速する

   ルール③ 歩道上での片手運転、ながら運転、傘さし運転等を禁止する

   ルール④ 歩道走行中は身分証明書(マイナカードなど)の携帯を義務付ける

   ルール⑤ 歩道走行するには対人保険に加入を義務付ける(自転車専用の自賠責保険 制度を構築する)

 このルールを定めたうえで、自転車にはこの速度制限を遵守しているかどうか、一目でわかる装置の装着を義務付けるのです。 具体的には車輪に速度計測装置を取り付け、自転車前部と後部にLED灯を取り付け、10km超は赤ランプ、5km超は黄ランプ、5km以下は青ランプ点灯とするのです。 こうすれば周囲の人はルールが遵守されているかどうか一目でわかります。 新車には義務付け、既存の車には5年程度の猶予期間を設けて取付を促すのです。 大量に作ればコストは大した金額にならないと思います。 

 一方でルール遵守の為には時々取り締まりキャンペーンが必要となります。 最初は警告のイエローカードを渡す程度でしょうが、徐々に強化し反則金納付とするのが適当だと思います。 警察官の負担軽減のため、警告の民間委託を検討すべきでしょう。

 その一方で可能なところでは出来るだけ自転車道を整備し、自転車が快適に走れる環境を広めていく努力を行う必要が有ります。 自転車ルール違反の反則金自転車道整備に用いるべきでしょう。

 変化を嫌う日本の行政ですが、今のままのあやふやな自転車走行ルールは大変問題があると思います。 法と現実の乖離を無くし、事故を減らした上で利便性を高めるような前向きの変化を常に考えて取り入れていってほしいと思います。