令和の日本列島改造論 その9  

 

                                                          日本の農林業を変える

 

 明治以降の日本は、欧米各国との多大な国力差に気付かされたため、これを克服するべく国をあげて取り組んだ結果、先進諸国に追いつきその仲間入りを果たした。 この際に官の果たした役割は大きく、日本の官僚制度有効に機能し、諸外国からも優秀な官僚の多さをうらやむ声さえ聞こえたものである。 ところが、今や日本の産業分野で世界を牽引しているものは殆ど見られなくなり、国自体の先進技術開発・採用の遅れは目を覆うばかりである。

 この原因は、まさしく官僚の劣化である。 日本の国民性にも若干起因していることが有るかもしれないが、「変える」ということが嫌いないわゆる「ベテラン官僚」が跋扈していることが、諸悪の根源であろう。 明治期から欧米に追い付くまでは「手本」があるのであるから、官僚は手本に倣って「変える」計画を策定すればよかったわけである。 追いついてしまうと手本が無くなるので、途端に「変えない」と変わってしまった。 変えない方が自身への責任追及もなく、既得権も守られるので自身は「安住の地」に住めるのである。 官僚が良く言う「前例がない」はまさに劣化した官僚が使う言葉なのです。 

 手本が無くなったあとの成長は失敗を恐れず現在の社会システムを「変える」、いわゆるイノベーション」を起こすことを積極的に支援する施策が必要なのですが、劣化した日本の官僚制度は先に言った「前例がない」ことを嫌い、イノベーションを起こさせない行動をとっているのです。 このことは日本の産業全般に影響しているのですが、特に日本国民の「」に影響し、また国土保全・利用に大きな関係がある「農業」政策についてどのように変えていくべきであるか、私見を述べてみたいと思う。

 

土地政策の大幅変更 ――――― 管理できる者だけが土地所有を可とする

 当ブログ内の「令和の日本列島改造論 その3」でも触れてあるが、日本の農業を本気で変えようとすれば、土地政策の変更が必須となる。 日本中に広がりつつある耕作放棄所有者不明土地山林の境界不明問題等を解決しなければ、日本全体で効率の良い低コスト農林業を確立することは望めない。 これを解決する道は、政治決断のみである。 法律で、耕作放棄地や所有者不明土地、固定資産税の長期未払い土地は国が接収し、それらを国の機関が管理し、有効利用できる者に売却または賃貸する、いわば所有と管理の一体化を推進するのです。 

 

林業の大規模化を推進

 国が接収した土地を管理する機関は、その土地の隣接者等と協議し、土地面積を大規模化して農林業の低コスト化を推進し、林業「儲かる」産業に変えていくのです。 儲からない産業持続性が無いので、いずれ破綻します。 今までの農業や林業はまさに破綻産業です。 今までのような個人の零細農家頼みの農林業ではなく、規模を100倍以上にした儲かる産業に育てなければなりません。

 

林業の機械化を推進 ―――――― ロボットに投資を!

  これから激減していく日本の人口、その中にあって3Kの代表格である農林業の従事者が激増する訳がありません。 しかし、儲かる産業として他産業に匹敵する報酬を出し、3K部分ロボットが担うこととなれば、ある程度の従事者数は確保できます。 

 幸い、AIを含めたロボット技術急速に進化していますし、それらを遠隔操作・監視する通信環境4G,5G,6Gと急激に進化していきます。 これからの農林業は、これらの技術導入なくして未来を切り拓くことなどできません。 日本はこの技術開発に投資し、世界に先駆けて低コスト農林業のモデルを作り、世界に技術を輸出する意気込みで取り組む必要があります。 

 すでにアスパラ収穫ロボットを実用化している中小企業があると聞きます。 ロボットはまだまだ進化し、人間を超えた仕事をすることが出来ます。 林業については過去に書いた当ブログ「令和の日本列島改造論 その2」に六本脚の木材伐採機械を提案してありますが、このような機械は農業にも利用が可能です。 林業では伐採のみならず、植林除草等もすべてロボットに任せることが出来ます。 農業では施肥耕起除草薬剤散布収穫までロボット化すべきでしょう。 

 政府は未来につながらない無意味なバラマキ補助金などに金を使わず、斬新な機構の機械に最新のAIを搭載し、低コスト農林業の基礎を作ることにこそ大きな投資をするべきです。

 

家庭菜園奮闘記 その28

              実りの秋になりました              

 

 今年も、自宅庭のゆずが色付いてきました。 日当たりの良いところはかなり黄色くなったので、少し収穫してみました。 豊作年には500個以上実を付けますが、今年は昨年と同じくらいで目視で300個くらいでしょうか。

   f:id:koufuku-kyouden:20201030100215p:plain  

 

 ゆずの横には大きな夏みかんの木があります。        

    f:id:koufuku-kyouden:20201030113453p:plain   f:id:koufuku-kyouden:20201030114550p:plain

      夏みかんの木

 昨年も書きましたが、3年前の大寒波で夏みかんの葉は全部落ちてしまい、幹を残して枝は全部枯れてしまいました。 その後の冬は暖冬が続いたので、幹から芽吹いた枝が写真のように伸びてきて、立派な枝ぶりに戻りました。 今年は沢山をつけるかなと思っていましたが、結果は4個だけでした。 富山県では、夏みかん栽培はビジネスにはなりません。 でも、この冬が暖冬なら来年は沢山実をつけるでしょう。

 

 里芋も収穫時期となりました。 今年は畑の地中をモグラが掘り回り、春に芽を出したイモがいくつも食べられてしまいました。 あわてて予備の苗を植えたので、後植えの苗は小さく、不揃いになってしまいました。 調べると、モグラは肉食でミミズや昆虫の幼虫などしか食べず、イモを食べるのはモグラの穴を利用して入ってくるネズミだと書いてありましたが、本当でしょうか?  詳しい人、教えて!   

 f:id:koufuku-kyouden:20201030115811p:plain

 

家庭菜園奮闘記 その27

                                              秋も深まってきましたね              

 

 中秋の香り花「金木犀」が自宅庭で満開です。 いよいよ秋も深まって、冬の準備を考える季節となりました。

         

       f:id:koufuku-kyouden:20201016140908p:plain

       

 この時期の菜園は、秋野菜が終わりに近づき冬野菜が大きくなってきています。   

  f:id:koufuku-kyouden:20201016141154p:plain

 

 白菜大根も涼しくなったら、急に大きくなり出しました。 暑かったので、例年より少し遅いようです。

 

 私は暑い日が無くなった10月中ごろから11月中ごろまでに苗を定植しています。

         f:id:koufuku-kyouden:20201016141359p:plain

 

 苗は7~8月にランナーから出た子苗を仮植えして置き、その中で元気に育ったものをこの時期定植しています。 

 

来年収穫する冬越し野菜も植えました。  

  f:id:koufuku-kyouden:20201016141744p:plain

  玉葱は早生50本、晩生50本、紫玉葱30本 ホームセンターに注文し、今回は早生と紫が来たので定植しました。 

 無臭ニンニクはいつものように食するには小さすぎる球根を植え付けたところ、芽が出てきました。

 ラッキョウは夏の収穫時に3株残しておいたものを分球して1本ずつ植え付けました。 これは2年後に収穫です。 

 暑い夏も終わり、秋空の中で来年の収穫を想像しながら、本当に楽しい時間を過ごすことが出来ます。 コロナの心配もないので、皆さんも始めませんか。 田舎には空いている土地はいっぱいありますよ。 

企業経営のお話 その3

                                     絶対につぶれない会社を創る

  当ブログのスタート「ブログ初挑戦」で書いたように、私は「いくつかの会社を創業し成長させる努力をしてきました」が、私が目指したのは会社を大きくすることではなく「絶対につぶれない会社」にすることでした。 

 非常に憶病小心者の私は、会社が順調に成長しているときも「いつか仕事が全く来なくなる時が来るかもしれない」「不渡り手形をもらい資金不足になるかもしれない」などと、いつも不安を抱えていました。 この不安を払しょくするためにも猛烈に働いたのですが、働いて稼いでも税金を払い終わると、手元に現金が残らず、銀行借り入れがどんどん増えることが分かってきました。 特に、仕事量が増えて人員を増やし、設備投資もどんどんしなければならない時期には、税金を払うために多額の借り入れをしなければならないようになったのです。 

 多くの中小企業創業者は同じような経験をすると思います。 これを克服し、「絶対につぶれない会社」を目指して、私が取り入れた手法を紹介したいと思います。

 

全員が働く会社を作る

 まず、基本は社員全員が働いて、全員で稼ぐ会社とすることです。 全員が働くようにするためには、まず社長が率先して働く姿を見せなければ、社員が働くはずがありません。

 創業期から十数年は自分でも現場に出ていましたから、最も過酷汚れる現場は自分が担当しました。 朝はまずトイレ掃除からスタートです。 他人がいやがる仕事社長が率先してやっていれば、社長の指示に異を唱える従業員はいなくなります。 

 

人材に投資 ―――― 報酬増と教育

 そのうえで、従業員の報酬は世間相場より多くするのです。 報酬を多くしても、それ以上に稼ぐ人材にすればいいわけで、そのために研修にも力を入れました。 研修は仕事をするための考え方を学ぶ「思考研修」と実務を学ぶ「職能研修」がありますが、「思考研修」には一定の基準以上の人は外部の集合研修に全員派遣しました。 かなりな費用が掛かりましたが、会社の雰囲気が変わりました。 「職能研修」は、「営業」にかかわることは外部研修で、「技能」にかかわることは自社研修要領を作り毎年「技能検定試験」を実施し、合格者には手当をつけることとしました。 若手はこの試験合格を目指し「自主練習」をするようになりました。 

 こうすることで増やした報酬よりも数倍稼ぐ人材が育ちます。 やる気のない人はこの雰囲気についてこれないのでやめていき、自然淘汰が進むので全員が学び続ける雰囲気が出来上がるのです。 

 

技術開発(商品開発)を怠らない

 技術力で成長している会社と営業力で成長している会社があるようですが、いかに営業力が有っても自社に競合他社と「差別化」できるツールが全くなければ、強い営業力も機能しません。 圧倒的な技術力があれば口コミでも業容は拡大していくものですが、加えて強い営業力が有れば会社は一気に成長します。 会社を強くする基本は差別化できる技術開発(商品開発)ですが、新技術(新商品)も時の流れで陳腐化し新技術ではなくなります。 常に次の新技術開発し続ける仕組みを備えることがつぶれない強い会社の条件です。 

 当ブログ「開発人生記」で、私の土木建設業界での新技術開発を紹介してありますが、どのような業界でも技術開発は可能です。 例えばお饅頭屋さんだとすれば、十年一日の如く同じ饅頭だけを作り続けるのではなく、時代に合わせて甘さ・辛さ・色彩を変える、餡の滑らかさを工夫する、利用シチュエーションを想定して誕生日用・入学祝用・還暦祝い用等いろいろな形状のものを提案するなど、顧客ニーズを探る開発はいろいろできると思います。 これが出来ている企業が永続し成長する強い企業なのです。

 

事業の柱を複数つくる

 以前日本企業の中で「選択と集中」という考え方で事業の柱を絞ることが流行りましたが、絞りすぎて「1本足打法」になることは、企業にとって大変危険です。 社会情勢は刻々変化しており、どんな優秀な経営者でも未来を間違わずに見通すことは不可能です。 事業の柱複数あれば、経営者の意図せぬ環境変化で一つの事業が不調となっても、他の事業に注力することによりカバーできることが多いものです。 

 先のお饅頭屋さんの例であれば、饅頭販売が大変儲かる時代に多店舗展開ばかりしていれば、顧客の嗜好が饅頭から離れた時の打撃は大きいものになります。 饅頭製造の技術を利用して洋菓子を開発し、洋菓子店の展開も少し行っていれば嗜好の変化に対応しやすい企業体質になります。 大きく儲かる時代には、店舗を作るとき1階を自社店舗とし、2階以上を貸事務所マンションとすれば、不動産賃貸という事業の柱が加わります。 不動産賃貸に習熟すれば、饅頭屋から撤退したいと思えば、自社店舗も貸店舗とすることが出来ます。 

 現在主力の事業をますます強くすることはもちろん大変大切ですが、このように環境変化に機敏に変化して対応できる体質が「つぶれない企業」の条件なのです。 そして、その事業の作り方は、現在の事業と相関があり設備・技術・人材などを利転用できる方が成功確率が上がります。

 私は創業当初、建設機械の修理業から入り、機械のレンタル販売と広げていきました。 機械を沢山保有するようになると、オペレーター付きの要望が出てきたのでその要望に応えると、更に進んで土木の請負の要望も出てきました。 その要望にも応えるために人材を採用許認可を取得しました。 土木の請負をすると、受注金額が大きいので事業の主力が次第にそちらに移行していきました。 この増やした人材で当時増加しつつあった下水道管埋設工事主力に受注を拡大していったのです。 この過程では他の事業も残しつつ、新しい事業を試行し、人材や利益率等を勘案して伸ばせる方向へ事業の中心を移行していった訳で、このようなやりかたがリスクが少なくスムーズな拡大が出来ます。 

 要は、新しい顧客ニーズがあったとき「当社はそれはやっていません」と断る会社にならず、やってみて事業を広げていく体質の会社にすることが肝要です。

 

未来に稼ぐ投資で節税と含み資産増加

 企業が順調に成長しだすと、経営者は税金の多さに驚かされます。 税金を払うことは企業が社会で生きていくうえで大変大切なことですが、何も考えずに税金を払っているとなかなか企業体力が強くなりません。 「未来に稼ぐものに投資」することが節税となり、企業体力を強くします。 未来に稼ぐものとはどんなものがあるかを例示します。

製造設備更新・新設する。 増産とコスト削減を目指して新しい設備を導入すれば税額控除特別償却などで節税でき、キャッシュフローを改善出来る上、来期以降の利益を押し上げることが出来る。

遊休不動産賃貸物件とする。(例えば駐車場、アパート、マンション、貸店舗)

賃貸用不動産を取得する。(償却が大きくて投資利回りの大きい物件であればキャッシュフローを改善できる) 土地は償却できないので、投資をするとキャッシュフローが悪くなります。 土地のみに対する投資はやめて、出来るだけ実価値の減少よりも償却額が大きいものに投資することが、含み資産を大きくし会社の体力を強くします。

太陽光発電などの安定収益を期待でき、償却額が大きい商品に投資する。 太陽光発電所は償却期間が17年であるが、もっと長期に亘って収入が期待できる。

レンタル商品に投資する。 自分の事業と関連のある商品をレンタルすることで安定収入が得られる場合があります。 例えば介護業界であれば、介護用品のレンタルなどがあります。 私は建設業界にいたので、建設機械や建設用仮設資材のレンタル部門を作りました。 償却が大きく取れるが実価値はそれほど減価しないので含み資産が大きくなり、会社の体力強化に大きく貢献しました。

 

保険商品で節税と含み資産増加

 会社で規定を作り、一定基準の従業員全員を対象に保険に入ると掛け金の半額が経費となる商品があります。 解約すると掛け金が戻ってくるのですが、金利水準が下がった現在では掛けた金額100%ではなく少し減額されますが、従業員が入院した際などには保険金が給付されますので福利厚生として役立ちます。 保険金は従業員に払われるのですが、会社にどうしてもお金が必要になった場合に、解約すれば会社に返戻金が戻ります。 私は従業員の退職金に充てるため、役職や勤続年数を考慮して毎年の掛け金を決めていました。 長年勤務すると退職金も中小企業にとっては負担になる額になりますが、保険で長年積み立てておけば解約返戻金退職金に変わるだけで一時の大きな負担が無くなり、会社の損益を傷めることもありません。 今回のコロナ騒動のような緊急時売り上げが大きく減少したような時には解約し、現金を手にすることもできます。

 

 いろいろと書いてきましたが、まとめれば「変化を恐れず変革を続ける企業体質」とこれをバックアップする豊富な「流動資産と含み資産」を持つことです。 多くの人がこれを理解し、目指して経営していったなら、日本に100年企業がもっともっと増えることでしょう。

家庭菜園奮闘記 その26

                秋の実り

  猛暑もようやく終わり、秋になってきましたね。 実りの秋・食欲の秋で夏バテの体を整えねばと思います。 

 ブドウがもう実ってきました。 今年は猛暑だったせいか、巨峰の甘さは例年以上です。 

  f:id:koufuku-kyouden:20200923141613p:plain

 

 イチジクも実ってきました。 毎日5~10個収穫しています。 収穫しているイチジクは「白イチジク」と呼ばれているそうです。 甘さいっぱいです。 

 昨年書いたように、透明な樹脂袋に網袋をかけています。 今年はこの二重袋でも実をつついていく鳥が出てきたので、さらにこの上に網袋をかけました。 やっと被害が無くなりました。

   f:id:koufuku-kyouden:20200923141945p:plain

  秋は山野にもたくさんの実りがありますね。 コロナで家に引きこもっていると心身の健康にも影響が出ます。 密を避けて山歩きブドウ狩り栗拾いなどに出かけてはいかがでしょうか。

家庭菜園奮闘記 その25

                                                            培養土の工夫

  今回は培養土に関して、私が近頃工夫していることを紹介したいと思います。 

市販の培養土は、1年くらい使うと土中養分が少なくなって栽培植物が育ちにくくなります。 毎回、新しい培養土を使っている人も多いと思いますが、私は培養土を再生して使っています。

 私の培養土再生方法は、古い土石灰油粕を混合し、1~2か月放置するというやり方です。 土に対して石灰5% 油粕10%程度(かなりいい加減です)を混ぜ込み、放置している間土を乾かさないように散水しています。  

           f:id:koufuku-kyouden:20200828142410p:plain

            

            f:id:koufuku-kyouden:20200828142626p:plain

  雑草の種が土に多く落ちた恐れがあるときは、混ぜた後黒いビニール袋に入れ、日当たりの良いコンクリートに2か月ほど放置しています。 こうすることで、特に夏場は袋の中の温度が上昇し、は殆ど死滅します。 ついでに害虫の幼虫や卵病原虫細菌ウィルス死滅・分解しますので、いい土に戻ります。   

        f:id:koufuku-kyouden:20200828142908p:plain

  歳をとると力が無くなり、土を入れたプランターさえも重くなってきました。 そこで、ホームセンターから軽い培養土を買ってきて使っていましたが、結構費用が高くつくので、今年から新しい工夫を始めました。 

 「家庭菜園奮闘記 その4」でもみ殻のことを少し紹介しましたが、培養土にもみ殻を混ぜる軽くなり、土が固くなるのも防げるだろうと思い、試行を始めました。 先に書いた「古い土に石灰と油粕を混合」した土に、さらにもみ殻を10%~20%混ぜ込むのです。 

           f:id:koufuku-kyouden:20200828143144p:plain

 

   

  f:id:koufuku-kyouden:20200828143623p:plain

 こうしたところ、混ぜた分だけは明らかに軽くなったようです。 これからプランターや育苗に使ってみて、障害が出ないかを試していきたいと思います。 

 もみ殻は腐るのがとても遅いのですが、それでも次第に腐食はしていくので、次回の再生時にはもみ殻を少しだけ追加するというやりかたをしようと思っています。   

      f:id:koufuku-kyouden:20200828143859p:plain

 更に、プランターや植木鉢の底には水はけのために「鉢底石」を入れることをよくやっていると思いますが、これをもみ殻に替えてみました。 こうすれば、圧倒的に軽くなるうえ、土再生の時もみ殻と土を混ぜてもいいので、石と土を分ける手間も省けます。  

   f:id:koufuku-kyouden:20200828144349p:plain

 米が主食の日本ではもみ殻も大量に産れますが有効利用法が確立されておらず、軽くてかさばるので運搬や処分にも手を焼いているのが現状です。 農地で野焼きしていたものも近年は煙害クレームで出来なくなってきました。 多くの人が園芸や農業で使うようになれば、厄介者の処分に役立つかもしれません。 

 もみ殻利用で栽培植物がどのような影響を受けるか、結果が出たらお知らせしたいと思います。 いい結果が出たら、CO2削減のためにも、大いにもみ殻を利用しましょう。

開発人生記 その2

                                        ウエルポイント工法に挑戦 

 私は、当ブログ開始最初の 「ブログ初挑戦」に書いたようにいくつかの会社を創業してきたのですが、35歳~40歳くらいの時は建設機材の販売・レンタル・修理を業とする会社をもう一人の経営者と共同経営していました。 その会社の専務をしていたのですが、訪問営業にもよく出ていました。 

 折しも日本は自動車をはじめとした輸出攻勢でアメリカとトラブルになっていた頃で、アメリカの外圧で内需拡大政策を進めつつあった頃です。 内需拡大環境保全の切り札として下水道整備計画が全国で始まり、富山県では最初に県西部で「小矢部川流域下水道」の整備計画が実施されることとなりました。 

 流域下水道計画で最初に作るのは「浄化センター」という汚水終末処理場です。 県西部の市町村からでる汚水を集めて浄化し放流する二上浄化センター高岡市二上地区に作られることになり、最初に第一ポンプ棟建設工事が発注されました。 県西部の汚水の多くの部分を処理する訳ですから、広大な敷地にいろいろな施設が順次建設されていくわけです。 この二上地区は当時共同経営していた会社から車で5分くらいの近いところでした。 

 この最初の工事を富山県出身のゼネコン「佐藤工業」が受注したので、私は建設機材のレンタル営業に出向きました。 現場事務所に居合わせた所長は「レンタルは間に合っているが、この工事にはウエルポイントという工種の施工が必須なのだが富山県にはウエルポイント専門業者がいない。 名古屋か大阪から呼ぶしかないが、長期の工事なので遠方の業者では常駐管理費が高額となる。 近くに基地があるお前の会社でやってくれ」との言葉。 ウエルポイントとは水の出る砂地で掘削する場合に、予め周囲に真空で吸引するパイプを沢山打ち込んで水を吸い上げ、掘削しても水が出てこないようにする工法です。   

    f:id:koufuku-kyouden:20200811134257p:plain

 

 当時まだ30代の私は「人が出来るものは自分でもできる」「面白くて稼げそうなものは何でもやりたい」と思っていたので、「ウエルポイントの機材を販売したことはあるが、施工は経験がなくわかりません。 しかし、やり方を教えてもらえば出来ると思います」と答えました。 すると話はとんとん拍子に進み、ウエルポイント工事を請け負うことになったのです。 

 しかし、何しろ初めての仕事ですから元請けの佐藤工業をはじめ、いろいろな人に「見積の基準」「施工の仕方」「機材の調達」「管理のポイント」などを聞いてまわり、教えてもらって覚えました。 元請けから「揚水計画書」なるものを書いてみろと言われ、いろいろな人に雛形が無いか聞きましたが手に入りません。 今ならインターネット検索ですぐに見つかるでしょうが、当時はインターネットはありません。 専門書を扱っている文苑堂書店の地下へ足しげく通い、地下水に関する専門書を読み漁りました。 勉強したおかげで地下水位低下の計算方法揚水計画書作成のノウハウを蓄積し、その後の営業活動に大きな力となりました。 

  その後、二上地区に水処理ライン焼却棟などの浄化センター施設がどんどん発注されていき、いずれもウエルポイント工法が工種に入っていました。 工事毎に受注者は変わるのですが、いずれも名の知れたゼネコンです。 私は佐藤工業の所長に大変気に入られていたので、新たな工事が出るたびに所長は受注したゼネコンに、ウエルポイントは私に発注するように電話してくれました。 当時の佐藤工業富山県では大変力があり、ゼネコンが富山県で工事を受注しようと思ったら佐藤工業に挨拶がいるといわれた時代です。 私は労せずして浄化センターのウエルポイント工事を次々に受注し、5年間位は切れ間なく仕事をしていました。 

 この浄化センター工事のみで、ウエルポイント設備10セット以上購入し、償却できました。 浄化センター工事や汚水幹線工事が進むのと同時進行で市町村が発注する家庭内排水を集める管渠の面整備も進行し出し、そちらでもウエルポイント工法が採用されはじめました。 そのころには、私はウエルポイント工法のプロになっていたので、ほとんどの工事を競合なく受注していきました。 そのうち、県内他地区でも終末処理場面整備が始まり、その多くの工事に携わることが出来ました。

 

 先に、共同経営を行い私は専務をしていたと書きましたが、二上浄化センター工事が始まって1年半くらい経った頃、共同経営者と不仲になり、私はその会社を追い出されるように工事部門だけを持って独立しました。 共同経営の会社に個人の資金をほとんどつぎ込んでいた私は、先方が出資金も貸付金も給与さえも払ってくれないので、この時点で自身の事業資金はほぼ皆無になってしまいましたが、ウエルポイントの技術設備は私が持っていたので、すぐに近隣で土地を借り基地をつくり営業体制を作った結果、多くのウエルポイント工事は私が受注することが出来、富山県ではほぼ独占企業となることが出来ました。

 

             簡易ウエルポイント工法の開発

 工事を沢山していくうちに、1日で終わるような小さな工事でウエルポイント設備を一式持っていくと、電源も大きなものが要り大変無駄だと思うようになりました。 そこで開発したのが「簡易ウエルポイント装置」です。 これは揚水ポンプとしてエンジン付きの自吸式ポンプを使うもので、市販のエンジンポンプを少し改造するだけで使うことが出来ます。   

      f:id:koufuku-kyouden:20200811135225p:plain

  ポンプの排気能力が小さいので、最大効果を発揮させるための取り扱いノウハウは覚える必要があるのですが、それを覚えた人が使えば軽四トラックで全部材を運んで施工できるため、コストは大きく低下します。 

 特によく使ったのは下水道面整備が終わって道路下に下水管が設置された後に、追加で汚水桝を設置する場合です。 桝と下水管をつなぐために下水管を掘って見えるようにしなければなりません。 掘っていくと下水管周囲からほぼ水が出てきて周囲の砂が崩壊します。 水が出てこなければ掘ってつなぎこみをするのは数時間で終わります。 ここに吸水パイプを5~6本打ち込んで揚水すれば水が出なくなるので、工事はあっという間に完了です。 はじめは自社現場で使っていたのですが、見ていて欲しいという業者が多くなったので、欲しい人には販売したので20台以上売れました。 レンタル用の機械も用意したら、たいへんよく使ってもらえました。 自社工事・販売・レンタルと3部門で稼がせていただきました。

 

           バーチカルウエルポイント工法の開発 

 ウエルポイントの工事はどんどん多くなり、最盛期は富山県内中心に年間300現場程度施工するようになりました。 ウエルポイントで地下水位を下げるのは掘削深さ5m程度が限界ですが、現場が多くなるともっと深いものに対応できないかという相談が来るようになりました。 

 深いものは通常「ディープウエル」という工法を使うのですが、ウエルポイントに比べて高額である上、地下水位を広範囲に低下させるので周辺地盤の沈下を起こすことが有り、環境負荷が大きいのです。 

 ウエルポイントであれば、ディープウエルよりはるかに影響範囲を狭めての水位低下計画が出来ます。 このため、掘削した下段にもう一段深いウエルポイントを施工し、揚水ポンプは下段に降ろせるコンパクトなものを開発しました。 写真に写っている現場は最深部が9m以上の深さがあります。 1段目は通常の地表面付近で配管し、通常のポンプを使っています。 2段目は3m程度下がった所に配管し、ポンプは専用に開発した円筒形のコンパクトなポンプを付けてあります。 さらに、写真奥側は1.5m程度深くなっているのでその付近のみ1.5m程度下がった位置にもう1段配管し、ウエルポイントを施工してあります。 つまり、3段構えでこの現場の水位低下を行っているのです。   

      f:id:koufuku-kyouden:20200811140400p:plain 

 この工法の設計はかなり高度の知識と経験が必要であるため施工例は多くありませんが、ディープウエルに比べて安価な上、確実な水位低下を達成できるので採用したゼネコンや発注者には大好評でした。 

 今のようにインターネットが発達していればホームページ等でもっとPRが出来、普及したのかも知れませんが、下水道の全国普及が完了した現在ではこのように深い掘削が減少し、採用実績は伸び悩んでいる様です。 

 環境負荷小さく、コストメリット大きい工法なので、ディープウエル工法が本工法に置き換わることが求められている時代であると認識しています。 掘削工や水替え工の設計者の方には、是非採用検討をお願いしたいと思っております。