令和の日本列島改造論 その6

 

                               次のパンデミックに日本国としてそなえよ!
                                           (① 厚労省の改革点

 

 世界中に広がったコロナウイルスも、対策をきちんととれる国ではようやく収束の気配が見えてきました。 一方、きちんと対策をとる力のない発展途上国での蔓延はまだまだ続いているようですが、これらの国でも近いうちに集団免疫が機能し出して、収束に向かうものと思われます。

 この予期せぬコロナパンデミックが世界に与えた衝撃はあまりにも大きく、それは経済流通のみならずイデオロギーを含む国家間の力学にまで影響が及ぶことは明白で、コロナ後の世界はどう変わるのか、予断を許さないものがあります。

 世界がどう変わっても、「令和の日本列島改造論 その5」で書いたように「パンデミックは定期的に発生する」という前提で日本は準備を進めておかなければなりません。 それでは、準備を進めるというのはどうすればいいのでしょうか。 それは、今回のパンデミックで「失敗したこと」「出遅れたこと」「不評であったこと」などを拾い出し、次回はそうならないようにしておくことなのです。 特に今回のPCR検査体制構築で「無能」と評された厚労省は、指示を出す幹部職員の再教育を行い「パンデミック対処の基本」を省全体に浸透させておかなければなりません。

 日本のコロナによる死者は世界的に見ても少なく、抑え込みに成功したかのようにも見えますが、これは厚労省の施策が成功したのではなく日本人の集団自粛協力者の多さや医療従事者責任意識の高さ等々に救われたものであり、厚労省の失政がなければ感染者や死者は数分の一になっていたことでしょう。 世界からも日本のコロナ対策行動はちぐはぐで効果的であるとは思えないのに、どうして感染爆発が起こらなかったのか不思議であるとの評がほとんどである。

 それでは、厚労省はどこを反省し、次回はどうすればいいのでしょうか。 まず、ダイアモンドプリンセス号での施策は大悪評でしたが、どうすればよかったのでしょうか。

 最初にやるべきことは施設内感染拡大防止施設外へのウイルス拡散防止で、これは①ステイルーム:個々人は部屋からでない。そのために、食事も部屋へ運ぶシステムを整備 ②マスクや殺菌剤の各部屋への配布と共用部に徹底除菌 ③発症している人の隔離とPCR検査:重症者は感染症治療設備の整った病院に入院するしかないが、軽症者用の隔離設備をつくってそこで検査治療:中国では8日間で1000床の隔離病院を作っている。港湾コンテナヤードで仮設すれば、日本でも可能である。ホテル1棟貸しが可能なら、それもいい。
外国籍の乗員・乗客が多数であったのであるから、外務省と協議し無症状者を準備の整った国から自国民引き取りのチャーター便派遣を要請し、乗客数を減じる:これがあれば施設内感染者もあれほど多くならず、長期隔離による外国からの非難も無かった 

 このような体系だった施策を行うことなく、漫然と船内に入った厚労省職員等は自らも感染して国内にウイルスを持ち込み、下船者の帰宅に公共交通機関利用を容認したことにより更に国内感染を広め、施設内感染拡大防止と施設外へのウイルス拡散防止両方で大失敗をおかした。 このことは、危機意識が高く周到に準備して作業に当たった自衛隊は、同船の支援に2700人も投入したにもかかわらず、一人の感染者も出さなかったことを見れば明らかである。

 ダイアモンドプリンセスで失敗がなくても、早期にほとんどの国との入出国を政府が決断しない限り、このグローバル化した世界ではどこからかウイルスが国内に侵入するのは防ぎようがなく、その意味では入出国禁止は遅きに失した感があります。 しかし、ウイルスが国内に蔓延し出してからの厚労省の対応はまさに失敗そのものです。  

それではどこが失敗で、次回はどうすべきなのでしょうか。  

 物事を成功させるには、自分が行う行動の「目的」を把握し、目的を達成するための行動計画を策定し、実行するのです。 国内にウイルスが侵入してしまったら、どうにかしてこのウイルスを「絶滅」させなければなりません。 今回の厚労省の目的は「ウイルスの絶滅」だったのです。 これを医療機関の崩壊防止」と勘違いした無能者が厚労省内に多くいたため、PCR検査の制限なる、諸外国からも疑問視される訳の分からない施策を実行してしまったのです。 

 無能者の発想は PCR検査の増加感染者数の増加医療機関の能力超過・崩壊となり、この対策として PCR検査数の制限となるのですが、有能者の発想は目的が「ウイルスの絶滅」とはっきりしていますからこれに反する検査数の制限は考慮の中に入らず、PCR検査の増加感染者数の増加医療機関の崩壊防止対策という発想になるのです。 そしてまずPCR検査増加行動計画を立案します。 これには韓国が取り入れたドライブスルー検査オークスルー検査・民間の検査機関と民間医院と連携させた仮設検査所の設置等出来ることは山ほどあります。 またPCR検査精度を向上させるため、鼻とのどの両検体検査とするのです。 検査機関も国立感染症研究所に限定せず、民間の検査機関の能力を調査し、費用を決めて委託できるようにする。 原則医師が必要と認めた人はすべて健康保険適用で検査可能とし、個人が心配だから検査を希望する場合は全額自費で検査可能として、少しでも怪しい人は全員検査する方針で検査数を増やすのです。 

 このように、検査数を増やすと罹患者は相当数増加しますが、増加するのは主として軽症者と無症状者ですから、症状別分類隔離を実施すれば医療崩壊は防ぐことが出来ます。 分類隔離の方法は ①重症者、軽症者、無症状者に振り分け、重症者は専門の設備がある病院へ、軽症者は仮設病院やホテル等改装の病院へ、無症状者は仮設やホテル等の隔離施設へと、とにかく保菌者はすべて隔離するのです。 厚労省にこの分類隔離という発想がなかったことが、医療逼迫を招いた最大原因です。 重症者は人工呼吸器や人工心肺の設備がある病院に入らねばなりませんが、軽症者は解熱剤等の投薬やせいぜい点滴程度でしょうから急ごしらえの仮設施設で充分でしょう。 無症状者に至っては、隔離だけで治療はほぼ必要がないわけですから、仮設施設や借り上げたホテルで充分なわけです。

 要は市中感染者を早期に発見し、隔離することを最優先するのです。 このことが感染者絶対数激減させ、医療崩壊を防ぐ最良の方法であるうえ、最短収束手法でもあるのです。

 次回は、日本にパンデミックを及ばせないために国が準備すべき施策を提案したいと思う。