令和の日本列島改造論 その16

                                                       発送電の完全分離を!

 

 2020年に始まった日本の発送電分離は今のところ名ばかりで、送配電会社は大手電力会社の子会社という形になっているため、すべての発電会社に対して公平性が担保されているとは言い難い。 また、別会社となったための固定費増加によるコストアップも懸念されるところである。 これらの懸念を払拭し、すべての発電会社公平な競争環境となり技術開発やコストダウンの企業努力競争が日本のエネルギー産業の発展に資するようになるためには送配電部門の完全独立と合併等による広域化が欠かせない

 

 先般、有識者会議が発電会社の不祥事を受け発電会社と送配電会社の資本関係断絶を諮問したようだが、資本関係断絶に加えて広域合併を行うことは欠かせないと思われる。 日本の送配電会社2~4社程度に集約し、コストダウン、技術開発力の向上、設備更新投資体力増強等を図ることが日本の国力向上に必須である。 その上で送配電価格は大手電力も新電力も公平な価格設定として顧客に発電会社を選択させれば、発電会社間の正常なサービス競争がおこり価格の低下や品質の向上が期待できるのです。 

 

 それでは送配電会社の競争関係はどうしたら良いのでしょうか。 競争関係を作るために同じ地域に送配電会社を複数作ることは二重投資を産むこととなりかえってコスト高となる可能性があります。 また地区独占とすることで公共サービスに必須であるユニバーサルサービスを義務付けることもできるようになります。 このため現状の送配電網を維持する1社は独占を認め送配電価格国の認可とするしかないと思われます。 しかし完全な独占ではなく、新技術での送配電は別会社でも参入可能とする必要があります。 

 

 例えば地域を限定した地産地消電力直流送電網レーザー送電網の構築など新技術での参入は将来の大幅なコストダウンや革新的サービス提供を産みだす可能性がありますから、このような産業育成を考えた制度にすることが必要です。 新技術でのサービスが本格的になればその時点で旧送電網との価格を含めたサービス競争環境が出来上がることとなります。

 

 このような大きな社会基盤の改革は既存の大手電力会社の既得権に切り込む必要があるため大手電力会社をバックにしている政治家や官僚から大きな反発がくると思われます。

 日本政府は既得権死守を目指す抵抗勢力に屈することなく、完全な発送電分離を通じた公平な競争環境の構築と革新的な産業育成環境を達成していただきたいと思います。